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2006年12月27日 (水)

「戦争の日本史13・信長の天下布武への道」

日本史上で「英雄」の名にふさわしい人物は、と尋ねられたとき「信長」の名を挙げる者はかなり多いだろう。三十一もそれに同意する。中世から近世へと転換する時代のその立役者であったことに異論はあるまい。

しかしその「天下布武」への道は一般に思われているよりも紆余曲折に富んだものだ。1560年の桶狭間の合戦から1582年の本能寺の変まで、20年あまりに過ぎないがその間には浅井朝倉軍のために京都と本拠地美濃の連絡もおぼつかない状況に追い込まれたこともあるのである。そういった状況をなんとか切り抜けて領国の拡大に転じることができたのは反信長同盟の中核であった武田氏の信玄が急死したというタイミングもあるが、同時多方面作戦を可能にした内線の利と、それを支えた東海近畿地区の経済力を見逃すことはできまい。

この本を読んでの感想は、信長と言えば冷酷非情という印象を持たれているようだが、実際にはかなり計算尽くで行われている部分がある、ということである。非情に徹する場合も、また情に訴える場合も、とる手段は常に目的に合しているかどうかという基準で決定しているようだ。もちろんそこには信長個人の性向にともなう傾向はあるにしても。

本能寺の変がなければ天下統一は5年は早まっただろう、という著者の推定は、それなりの根拠があるだけあって説得力がある。その後の日本史もよほど変わった展開になっただろうが、そこから先はさすがに歴史学の領域ではない。

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