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2007年5月 8日 (火)

「古代豪族」

最新刊の「歴史群像」に書評が出ているけど、評者は本当にこの本を読んだのかなあと思ってしまった。豪族の「変遷史」が理解できる構成になってるか?
言っておくが、三十一はこの本を貶しているわけではない。それどころか、書店で見かけたときに「この本はきっと楽しく読めるに違いない」と確信したし、読み終えてみてその確信は正しかったと言える。体調不良を挟んだので、読むのに時間がかかったけどね。

三十一がもっとも評価するのは、律令以前の国造層と、律令以降の郡司層を中心に記述されていることである。実はこのふたつはかなり相通じる部分がある。要するに地方を実質的に掌握していたのがこの階層ということになる。中央にばかり目を向けていると見落としがちだが、実際には当時の日本はこれらの階層が動かしていたといっていいだろう。
律令ができて国司には中央から中級貴族が派遣されるようになった。いわゆる受領である。しかし役所としての国司の実務は地方出身の在庁官人層がつとめ、また郡司は地方の名望家が選任された。要するに国造/郡司層である。こうして地方では中央派遣の受領と、現地出身の在庁の対立相克が生じた。在庁の抵抗に対抗するため、受領の権限はどんどん大きくなった。それは受領の出身層たる中央貴族の利害とも一致したから、受領と在庁の格差はますます大きくなっていく。
次代の主役たる武士階級は、地方に下向した中央貴族の分家層(源平も皇室の分家)、国造郡司層の末裔、あるいは地方荘園の管理を委された中央貴族の家人層などを母体として生まれたのかもしれない。この本が「平将門の乱」で終わっているのは象徴的である。

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