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2007年11月 6日 (火)

「幕末の朝廷」

だいぶ以前に「幕末の天皇」という本を読んだ。そのときにはわりと本題と関係ない感想を残しているが、実はかなり面白かったのである。その三十一の評価は外れていなかったようで、その後に出てきた幕末史、とくに幕末の朝廷に関する研究ではほぼ間違いなくこの「幕末の天皇」が引用されている。
この本も「幕末の天皇」をベースにしている。孝明天皇が幕末の政局に大きな影響を与えていることは今では定説と言っていいだろう。幕府首脳と、朝廷の首脳(つまり摂関家)、そして孝明天皇の思惑の違いが幕末の政局を動かした。その意味で、孝明天皇が幕末の最重要人物の一人であるということに異を唱える者はいないだろう。しかしそういった論調の中で著者は、孝明天皇は「開国の流れに敢然と立ち向かった英主」とされているが、実際にはそうではなかったと主張する。実は三十一は、その「これまでの評価」に違和感を抱いた。孝明天皇が開国に反対し、公武合体路線を堅持して倒幕に奔走する勢力を制肘したのは事実だが、そこに「断固とした態度」を見いだすのは正しい見方だろうか。三十一の印象では、孝明天皇が鎖国と公武合体に固執したのはむしろ「頑固な保守主義者」の当然の帰結であって、その裏には本質的に変化を嫌う小心な性格がうかがえる。そういう意味ではこの本の著者の孝明天皇論に与するものだが、「これまでの評価」をことさら対照的にとらえるのはどうかと思う。

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