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2008年3月10日 (月)

ジュール・ヴェルヌの打ち上げ

3月11日に、日本の実験棟を国際宇宙ステーションに輸送するスペースシャトルが打ち上げられるのは報道されている通りだ。しかし三十一がそれよりも注目しているのが、その直前にESA(ヨーロッパ宇宙機関)が打ち上げた「ジュール・ヴェルヌ」である。名前が長いので、以下プロジェクト名のATV(自律輸送船)で通す。
現在のところ、国際宇宙ステーションに物資を運ぶには3つの手段がある。ひとつはスペースシャトル、ふたつめはソユーズ宇宙船、そしてみっつめがプログレス貨物船だ。この3種類にはそれぞれ特徴があって、スペースシャトルは追加モジュールのような大規模な荷物を運ぶのに向いている。作業に必要な人数を一度に運べるのも強みだ。しかし軌道滞在期間はせいぜい2~3週間にすぎない。ソユーズ宇宙船は、もっぱら「救命ボート」として使われている。半年に一度、機材の更新を兼ねて新しいカプセルが打ち上げられ、古いカプセルが帰還する。人員と、小さな(例えばメンテナンス用の部品など)補給物資の輸送に使われている。定常的な補給は、もっぱらプログレス貨物船の役目だ。軌道修正のための燃料や、呼吸などのための酸素といった液体補給物資と、部品などの貨物を国際宇宙ステーションに運ぶ。国際宇宙ステーションで発生した廃棄物は、プログレスに積み込まれて大気圏に再突入し燃え尽きる。プログレスは国際宇宙ステーションの事実上の生命線だが、ソユーズ宇宙船の派生型ということもあって、打ち上げ重量で7トン程度でしかない。

シャトルが引退すると、国際宇宙ステーションへの物資の補給径路がひとつなくなることになる。大きな部品の打ち上げはなくなるから、シャトルと同等の輸送能力は必要ではないが、大能力の輸送手段がなくなるのは厳しい。そこでプログレスと同様の、しかしもっと能力の大きい無人貨物船が構想された。そのひとつがATVである。今回が初めての打ち上げになるが、スペースシャトルの打ち上げの直前に仏領ギニアから打ち上げられ、シャトルが国際宇宙ステーションを離れて帰還したあとの来月に初めて国際宇宙ステーションへのドッキングを試みることになる。

実は日本もほぼ同じ構想の無人貨物船を開発しているのだが、先を越されたなあ。二番煎じに意味があるのか。

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