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2008年5月15日 (木)

昔の頭で出ています

野尻ボードで知ったことだが、先の宇宙基本法可決を受けて神浦元彰なる「軍事ジャーナリスト」(これから参照する記事によれば「ジャーナルスト」)が、5月10日の新聞に対してコメントしている

三十一は神浦なる軍事ジャーナリストを知らなかった。言われてみればどこかで名前くらいは見かけたかもしれないが、個別に認識していなかったので知らないのと同じだろう。

宇宙法の施行1年後のJAXA見直しは、もはや日本は独自の宇宙開発衛星(国産ロケット)の開発を断念し、アメリカの宇宙開発に依存するしかなくなったのだ。そのアメリカは宇宙開発の第一目的は軍事活用(宇宙戦略)であることは言うまでもない。そのために宇宙基本法で宇宙の軍事利用に突破口を開いたわけである。

三十一が違和感を感じたのは、"日本の"宇宙開発、"アメリカの"宇宙開発という言いぐさだ。三十一の感覚では、最先端の宇宙開発はとっくにボーダーレス化している。ロッキードマーチンの主力ロケットであるアトラスにロシア製のエンジンが搭載され、ボーイングがロシアのロケットメーカーと合弁で太平洋上から衛星を打ち上げるビジネスを展開し、ロシアのソユーズロケットの打ち上げ施設がフランスの打ち上げ基地に建設中で、ロシアの軍事衛星にフランス製の電子機器が搭載される時代だ。もともとアトラス・ロケットの新しいエンジンには日本のLE-7も候補に挙がっていたらしいが、軍事衛星の打ち上げに使われるかもしれないからとあれこれ文句をつけたので見切りをつけられ、結局選ばれたのがロシア製のRD-171で、これをベースに新たにRD-180が製造されたという経緯がある。もちろん、ロシア製のRD-180エンジンを使用したアトラス・ロケットはアメリカの軍事衛星も打ち上げている。各国が国家の威信をかけて独自の宇宙開発を独力で推進するというのは冷戦時代の発想をひきずった見方だろう。

現実には、あきらかに遅れをとっている日本や、独自性を協調する中国、インドのほうが国外との協力に及び腰だ。アメリカやロシア、フランスといった先進国に対等な立場で伍していく自信がないのかもしれない。

アメリカ企業が日本の宇宙開発に食い込もうというなら話は簡単で、商業打ち上げの開放を求めればいい。商業打ち上げの分野で日本は実績でも価格でもまったく太刀打ちできていないからだ。そして、それはこれまで実際にアメリカがしてきたことである。事実、日本が自前のロケットで打ち上げているのは政府調達の気象衛星とか観測衛星とか科学探査機ばかりで、商用衛星はもうずっと打ち上げていない。利益に厳しい私企業はアメリカとかフランスとかロシアに打ち上げを依頼し、日本のロケットには見向きもしない。これが現実だ。

アメリカからみたとき、日本に宇宙の軍事利用を分担させることが得策と思えるだろうか。東アジア地域の防空とか、北東太平洋の対潜哨戒を分担させるのとはわけが違う。静止衛星でも使わないかぎり、軌道上の衛星をある地域に固定させることはできない。つまり、宇宙の軍事利用は必然的にグローバルな活動にならざるを得ない。偵察衛星ならともかく、例えば日本上空だけの低軌道に配備されたレーザー破壊衛星というのはそれ自体が物理法則に反する存在だ。地上3万6千キロの静止軌道上にレーザー破壊衛星を配備するのは非現実的だろう。

結局のところ、日本それ自体には地上発射式のミサイルなどを持たせるにとどめ、軌道上はアメリカが自ら担当し、もし日本が技術をもっていたらそれを部品として活用する形でおいしくつまみ食いするのが得策ではなかろうか。

アメリカの宇宙関連ニュースサイトなどを見ていると、日本には関心があまりないように見える。こういう状況を国粋主義者どもは喜ぶだろうか、それとも悲しむだろうか。

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