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2008年8月13日 (水)

グルジア・ロシア紛争、略してグロ紛争

グルジアももちろんそうだが、旧ソ連を構成していたロシア以外の共和国には、ロシアに対する強い警戒感がある。建前上ソ連を構成していた各共和国は平等ということになっていたが実質的にはロシアによる支配であったから、ソ連の崩壊を「ロシアからの独立」とみなすのは当然だろう。

ロシア自体が混乱していたときは、ロシアの脅威もそれほどではなかったが、ロシアが未曾有の経済成長を遂げて自信を回復すると、周辺の旧ソ連諸国は戦々恐々とせざるを得ない。ソ連時代にロシア人が各共和国に入り込んでいったから、かつてのヒトラーがズデーテン地方のドイツ人保護を名目としてチェコスロバキアを解体したように、国外にあるロシア人の保護を名目に干渉してくるのではないかというのは旧ソ連諸国共通の懸念である。今回はその懸念が実現化してしまったわけだ。

一時はロシア軍がグルジア領土の中心まで侵攻したとも伝えられたが、結局は停戦を受け入れたようだ。ロシアはアブハジア、南オセチアといったロシア人が比較的多く住む地域の実効支配を強化し、目的を達した。グルジアは逆にこれらの「失地」を回復できずに終わったことになる。人口規模で1億4千万対460万、GDPで2兆ドル対200億ドルという格差がある状態でまともにぶつかっても勝ち目はない。

ロシアがグルジアに厳しくあたるのは、グルジアがNATO加盟をめざしているのも一因だという。グルジアにとってみれば、今度の衝突でますますNATO加盟の必要性を感じたにちがいない。いっぽうの現NATO加盟国にとってみれば、紛争を抱えた国にそうむやみに加盟してほしくないだろう。ある加盟国への攻撃は、NATO加盟国全体への攻撃とみなすというのが集団安全保障だから、紛争を抱えた国のNATO加盟は、NATO加盟国がその紛争に巻きこまれる可能性を増す。それが抑止力になるという側面もあるのだが。

西欧から遠く離れたグルジアがNATOに加盟するというのは一見不思議に思えるかもしれないが、グルジアのすぐ西隣のトルコはずいぶん前からNATOに加盟しており、冷戦時代にはソ連と直接国境を接している唯一のNATO加盟国と呼ばれた。その国境のむこうの「ソ連領」が今のグルジアであるから、グルジアのNATO加盟は「地続きの」拡大になる。それほど突飛なことというわけでもない。

ロシアもグルジアも旧ソ連の武器を装備の主流にしているから、同じ武器体系の軍どうしがぶつかったわけだ。T-72とおぼしきMBTが炎上している映像がニュースで流されていたけど、あれはグルジア軍車輌かな。

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