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2008年9月28日 (日)

「ヒットラーと鉄十字の鷲」

久しぶりの「読み捨てられた本」。実は20冊くらいバックログがたまってしまっていてどうにかしなきゃと思ってはいるのだが、とりあえず一番最近読み終えた本から。

副題に「ドイツ空軍戦記」とあるのだけど、どちらかと言えば「ドイツ空軍人物絵巻」とでも言ったほうがいいような。ゲーリングからグライムまで、主要なドイツ空軍指揮官、参謀の人物を中心に第二次大戦のドイツ空軍を語ったものという感じが強い。

"ルフトヴァッフェ" Luftwaffe という言葉は、ミリタリーな人にはある種の説明不能な感覚を呼び起こすものだが、この本を見ると実はそんな大したものではなかったのかもしれないと思わせる。この著者(アメリカ人だ)は、ドイツ空軍に戦略爆撃思想がなかったことを重大な欠点としてくり返し指摘しているけど、そもそも米英と同レベルの戦略爆撃部隊を作り上げるだけの国力があったんでしょうか。1944年のドイツの軍用機生産は約4万機、これに対しアメリカは10万機。4発機も含めた数だから、実質生産能力は3倍以上でしょう(よく3倍でおさまったと思うくらい)。戦闘機なんかの損耗を補充するので精一杯だったんじゃないかなあ。そりゃあ、できればよかったかもしれないけど無い袖は振れない。無限の国力を誇るアメリカの感覚で言われても困る。

ま、内容自体はけっこう面白かった。

ところが、著者の問題なのか訳者の問題なのか、細かいミスがけっこう目についた。たとえばドイツ空軍でもっとも規模が大きい部隊 Luftflotte だが、これをだいたいは「航空艦隊」と呼んでいる(一般的な訳語である)けれど、ときどき唐突に「航空軍」という組織名称が登場する。どうもこれは同じものをさしているらしい。意訳ならそれでもいいんだけど、同じ内容を同じ本の中で違った表現をしてるのはダメだろう。
それから、Sperrle を「シュペール」と訳すのはまあ許す(「シュペルレ」が一般的)としても、グデーリアンを「元帥」としてるのは明らかな間違い。リスト元帥を「ヴィルヘルム・"フォン"・リスト」としている誤りもある。「ヴィルヘルム・リスト」が正しい。貴族じゃありません。これはひょっとしたら原著者の間違いかもしれない。

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