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2009年1月28日 (水)

「ローマ亡き後の地中海世界(上)」

アメリカ海軍に「トリポリ」(USS Tripoli, LPH-10) という強襲揚陸艦があった。トリポリというのは現在リビアの首都であるトリポリのことである。米海軍の強襲揚陸艦の名前は海兵隊が活躍した戦場にちなんでつけられていることが多い。この「トリポリ」もその例に違わないのだが、その戦闘というのは1980年代のアメリカ・リビア対立の時代でもなく、第二次大戦中の北アフリカ上陸作戦でもない。今をさること200年以上昔、独立したてのアメリカが地中海西部を跳梁していたバーバリー海賊の根拠地であったトリポリを攻撃した戦闘にちなんでいるのである。この戦闘はアメリカ海兵隊の最初の本格的な戦闘であって、「海兵隊賛歌」の中でも「トリポリの浜辺まで~」と謳われている。

この本ではイスラムの北アフリカ征服からこれらの海賊が活動し始めたことを紹介しているが、そんな時代とはまったく縁遠いと思われているアメリカとこうした海賊の間に接点があったことは驚くべきことだ。それだけこの海賊の息が長かったということになる。なにしろ1000年以上続いたわけだからねえ。
要するに三十一は、塩野女史に教わるまでもなく北アフリカのイスラム海賊のことくらい知ってるよ、と自慢しているのだ。なにしろ1538年にプレヴェザの海戦でキリスト教国海軍を撃破したトルコ海軍の英雄、ハイレッディン・バルバロッサは北アフリカの海賊としてキャリアを積んだのだ。

いつものごとく読ませる内容で、それなりの分量にもかかわらず3日ほどで読み終えてしまった。ただ気になったのが、「民族の特質」とか「DNAのなせるわざか」のようにものごとの原因を先天的なところに求めようとする記述が多いことだ。こういう書き方はうっかりすると人種差別につながりかねないから要注意。

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