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2009年4月 6日 (月)

主催者側の発表によると

野尻ボードに軌道要素が引用されていたので原典を探してみました。たぶんこの辺かなあとあたりをつけてみたら案の定。

KCNA on DPRK's Successful Launch of Satellite Kwangmyongsong-2 (朝鮮中央通信 英語版)

これによると軌道傾斜角 40.6 度、近地点高度 490km、遠地点高度 1426km、軌道周期 104分12秒。

おそらく予定の軌道をそのまま発表したんだと思う。野尻さんもコメントしているように、いかにも「軌道にさえ乗ればいい」、という不確定要素を極力排除した打ち上げだということがこれだけのデータからでも見て取れる。

まず軌道傾斜角 40.6 度。これは射点(舞水端里)の緯度そのままであろう。先日の記事でも説明したとおり、何もせずに真東に打ち上げると軌道傾斜角は射点の緯度と自動的に一致する。実はこれがエネルギー的には一番ロスが少ない打ち上げなのだ。

それから近地点がかなり高い。490km というのは最低限必要な軌道高度の2倍以上になる。国際宇宙ステーション(ISS)の軌道にも匹敵する。

そして離心率がかなり大きい。離心率が大きいというのは軌道が円と比べてかなりつぶれた楕円形であるということだ。遠地点高度はおそらく当初から意図したものではなく、運搬ロケットで 490km までペイロードを持ち上げて可能な限りの軌道速度を与えると、結果として遠地点がここまで上がってしまう、というロケットの能力とペイロードの重量から結果的に導き出される軌道なのだろう。
離心率が大きい軌道は、旧ソ連のモルニア通信衛星のような特定の意図がないかぎり、実用衛星としては使いづらい軌道になってしまう。言い換えると実用性にはほとんど期待していなかったということだ。

さてこうなると弾道弾だったのか人工衛星だったのかという見極めは難しくなる。ロケット本体でどこまでの高度を発揮していたのかわからないが、少なくとも 300km くらいの高度は出ていた可能性が高い。ロケット本体の飛行プロファイルは共通で、その上に上段ブースター(例えば Breeze M とか Block Dのような) を介してペイロードを載せれば人工衛星に、ブースターを載せずにペイロードを搭載すれば長距離弾道弾になるような形態なのかもしれない。

余談だが、ロケット燃料が有毒ということで一部問題視されている向きもあるようだが、ヒドラジンと窒素酸化物という推進剤の組み合わせはかなり以前からあるもので、いまさら珍しいことではない。ロシアの大型ロケット・プロトンもこの推進剤を使っているが昨年1年だけで10回打ち上げられている
中国の長征2Fロケットもヒドラジン/窒素酸化物を使っており、それを知ったときには「有人衛星をヒドラジンで」と思ったものだが、よくよく調べてみると1960年代半ばにジェミニ宇宙船打ち上げに使われたタイタン・ロケットもヒドラジンを燃料にしていた。

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