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2009年4月19日 (日)

愛宕・足柄・蒼龍・雲龍

3月30日、海上自衛隊の新型潜水艦が竣工した。"そうりゅう"である。

これまで海上自衛隊の潜水艦は一貫して"○○しお"と名づけられていた。"くろしお"、"おやしお"、"たかしお"、といった具合である。"そうりゅう"は漢字にすると"蒼龍"であろう。もともと、海上自衛隊の艦船命名基準では、潜水艦の艦名として「海象」のほかに「水中生物」というものがあった。竜が「水中生物」と言うと首をひねる人が多かろうが、竜は普段池の中に潜んでいるがひとたび雨がふるとそれに乗って天にのぼると伝えられているので、広い意味で「水中生物」とみなされたのだろう。

だが、それよりも注目すべきは"蒼龍"は明らかに旧日本軍の航空母艦にちなんで命名されたということである。"そうりゅう"型の2番艦は"うんりゅう"と命名されたが漢字にすると"雲龍"で、これも旧日本軍の航空母艦の艦名だ。"蒼龍"は日中戦争、真珠湾攻撃、インド洋作戦で活躍したがミッドウェー海戦で戦没。あまり縁起がいいとは思えない。竣工後4か月、輸送船がわりの輸送作戦で潜水艦の雷撃をうけて爆沈した"雲龍"よりはマシだが。

もともと、自衛艦の名前と旧海軍艦艇の名前が重複しているケースは少なくない。なつかしいところでは"ゆきかぜ"、"あやなみ"、"あきづき"、"あまつかぜ"、"かもめ"など。最近でも"あぶくま"、"むらさめ"など、これはほんの氷山の一角であって実際には枚挙にいとまがないほどだ。
ところが、だいたい昭和のうちまでは旧海軍艦艇の名前のうち、特定の種類の名前だけが使われていた。具体的には、「気象、天象、海象」、「島の名」、「川の名」、「木、草、花」、「半島、岬」、「鳥の名」、「灘、水道、湖沼」といったところである。
逆にほとんど使われていなかったのは「山の名」、「国の名」、「瑞獣、水中生物」、といったところだろうか。「山の名」は、4隻のヘリコプター護衛艦に使われたことがあるけど。
旧日本海軍の時代からあからさまに「勇ましい」名前は「品がない」として避けられてきたそうだが、戦後の海上自衛隊の時代には一見勇ましい印象を感じさせない「優しい」名前をつけてきたように思える。

平成に入るころ、イージス護衛艦に旧海軍巡洋艦・巡洋戦艦にちなんだ「山の名」が命名されるようになってちょっと趣が変わってきた。これまで6隻建造されたイージス護衛艦は、"金剛"、"霧島"、"鳥海"、"妙高"、"愛宕"、"足柄"とすべて旧日本海軍に先代があるし、この春竣工したヘリコプター護衛艦は"日向"と命名された。海上自衛隊初の「旧国名」だ。そして今度の"蒼龍"である。戦後も60年をすぎて、そんなことに気をまわす輩も少なくなったんだろうなあ。

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