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2009年5月12日 (火)

主流になった特殊

オバマ政権のゲイツ国防長官は、アフガニスタン派遣軍(ISAF:International Security Assistance Force, Afghanistan) の指揮官交代を発表した。

Gates Recommends McChrystal for Top Command in Afghanistan (DefenseLink)

"Recommends" なのは、最終的に人事を承認するのは連邦議会上院で、ゲイツ国防長官は人事案を提出したに過ぎないからだろう。

日本の報道ではこれを「更迭」としているところが多い。
確かに、前任者の McKiernan 陸軍大将は就任して一年たらずで、異例の早さでの交代となる。しかし逆に考えると、まだ成果を評価するには早いとも言える。これだけ難しい戦場ではもう少し時間を与えてもいい。

そこをあえて交代させたのは、政権交代にともなってかねて公約していたアフガン重視政策を目に見える形で表現するという意図と、そのために指揮官として誰が適切かという観点で白紙から再検討した結果ではないかと思う。というのは、後任となる McChrystal 陸軍中将(就任とともに大将昇進予定)は現在では統合参謀本部事務局長の地位にあるがその前は統合特殊作戦軍司令官であり、さらにさかのぼれば湾岸戦争当時にも統合特殊作戦軍司令部で作戦参謀(J-3)として勤務している。おそらく、特殊作戦の第一人者なのだろう。

特殊作戦というと軍の中でも日陰者、日の当たらない傍流と見られがちだが、米軍では堂々たる統合軍のひとつとして特殊作戦軍(SOF:Joint Special Operation Force Command)が組織され、その指揮官は中将がつとめ、国防長官の指名にもとづき議会上院によって任命される。つまり、特殊とはいいながら米軍ではすでに主流の一角をしめていると言ってよい。もちろん、この傾向が強くなったのは冷戦崩壊以後のことではある。冷戦以降、大きな紛争は何度かあったが「常に」戦い続けているのは特殊作戦部隊である。これまでの戦争のように、明確に撃破すべき敵が存在してそれさえ無力化すればおしまい、というような形態とは根本的に異なり、敵そのものがわかりにくく、また組織の階層構造が明確でなく、中枢を破壊しても全体の無力化につながらない(そもそも中枢そのものがないことすらある)対ゲリラ戦、低強度戦にあっては、まったく異なるやり方が必要となる。そのための専門家が特殊作戦部隊だから、重要度が増すのは当然と言えよう。

ちなみに日本の陸自では中央即応集団隷下の特殊作戦群としてようやく1個群が近年になって整備されたにすぎない。

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