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2009年10月14日 (水)

10月は落ち穂拾いの月

今朝は窓を叩く雨音で目が覚めた。昨日の心づもりでは、朝イチの列車に乗る予定だったのだが、ちょっと気力が萎えてしまった。しかし、朝のニュースを見ているうちに雨はやんで日が射すようになったので、8時頃から荷造りを始めてチェックアウト、朝食を済ませて宿を出たのはちょうど8時半頃。まず向かったのは函館駅で、何をするかというとコインロッカーに荷物を放りこもうと思ったのだ。以前も来た駅、ロッカーの場所はわかっている。しかしいざロッカーの前に行ってみると、小銭がなかった。そこで駅の中にある書店に行って函館市電の一日乗車券600円ナリを手に入れ、そのお釣りを使って荷物を預ける。

最初に書いた通り、もともとの予定では朝イチの列車で江差まで往復し、午後からは函館市電を制覇して札幌に向かう予定だった。その朝イチの列車はもう行ってしまった。次の列車は10時。1時間あまりを使って函館市電を全線制覇する。幸いなことに函館市電の路線はそれほど長くないし、4年前に半分乗車経験がある。電車も10分間隔で来るとのことなので、よほどのことがない限り問題なく制覇できるだろう。函館駅前電停から、谷地頭または函館どっく方面の早く来た方に乗ろうと考えていたら、ちょうど来たのが谷地頭行きの低床車。これに乗って終点谷地頭まで行き、そのまま折り返して函館どっく方面との分岐である十字街に戻り、乗り換えて函館どっくまで往復、そのまま函館駅前に戻る。全行程で40~50分というところ。
函館は、函館山と本土の間に広がる砂州上に生まれた町で、基本的には平らで坂はほとんどない。その点は同じ港町である長崎とはだいぶちがう。しかし函館山の周辺は平地から突然立ち上がる急坂になっていて、市電はその急坂のすぐ下をぐるりとめぐっている。ただ、谷地頭の手前で小さな坂を越えるところがあって、勾配に弱い電車は自動車にがんがん抜かれていく。

函館駅に戻ってきて、少し時間があるからと余裕をかまして待合室で本など読んでいたら出遅れたらしく、列車に乗り込んだときにはすでに進行方向左側(海側)の席は埋まっていた。しょうがないので山側に座る。次の駅、五稜郭でさらにひとかたまりの乗客が乗ってきた。EH500やDF200が待機する五稜郭機関区を横目に見ながら通称津軽海峡線、実名江差線に入っていく。このあたりは本州と北海道を行き来する際に何度も通ったので、新味がないようであるが実は普通列車に乗って通るのは初めてなので意外に新鮮だった。単線電化のこの区間では、今乗っているような普通列車は1両単行、白鳥などの特急電車は6~8両、寝台特急でも12両だが、駅の待避線の長さは遙かに長い。貨物列車のための設備だ。上磯までは市街地の中を縫って走っているが、上磯を過ぎると街並みが切れ、やがて海岸線に出る。函館湾の向こうに函館山が見え、観光客とおぼしき乗客が窓を開けて写真を撮っている。三十一はそれを指をくわえてながめているが仕方ない。帰りに賭けよう。茂辺地でややまとまった数の乗客が降り、海側に席を移す。木古内でほとんどの乗客が降りてしまう。三十一はそのまま乗っていたが、停車時間が10分あまりあるということなのでいったん駅舎の外に出て写真を撮ったりした上で列車に戻った。木古内駅では、江差線の列車は一番山側の本線とは離れたホームに停車していたのでこのまま本線と分岐するのかと思っていたのだが、駅を発車した列車はおもむろに本線に合流した。しかも、津軽海峡線本線の山側、下り線を逆走することになる。そのままコンクリート橋で川をひとつ越えたあたりで右に分岐していく。ここからが真の初乗車区間だ。しかも今回の旅行で初めての非電化区間だ。やっぱり鉄道は頭上に余計な邪魔者がないに越したことはない。
これまで海岸線沿いから内陸部に入ってきて、車窓には水田が見えてきた。稲刈りが終わっている田も、まだ終わっていない田もある。やはりここは北海道と言っても道南。米が主要な農産物なのだなあと思った。渡島鶴岡、吉堀と続けて停まり、しばらく走ると平地は消えて山中に入ってくる。車窓を行き交う木々の葉はあるものは緑、あるものは黄色、そしてあるものは赤とモザイク模様を呈している。個人的には一面真っ赤よりもこういうモザイクが好きだなあ。分水嶺を超えたのか、左手の線路下に川が見え隠れし、進行方向に向かって流れている。やがて神明に到着。あれ、駅名標の隣駅名に「よしぼり」って書いてあるぞ。吉堀駅はずいぶん前に停まったような気がするけど、その間に駅がないのか。あとで調べてみたら15キロくらいあるらしい。まあ確かに、その間ほとんど建物らしきものを見かけなかったので納得なのだが。車窓から川をぼうっと眺めていると、目の前を駅名標が流れていった。駅らしいが停まらない。駅名標には「あまのがわ」とある。目の前の川の名前かな。しかし時刻表にはそんな駅はないので、かつて存在したものの廃止された駅ではないかと思う。川のまわりにぼつぼつと平地が見えてくる。しかしさっきまでとは違って、もっぱら酪農らしい。北海道の本体から伸びた渡島半島の、さらに先端である松前半島を横断しただけなのだが、そんなに気候が違うものなのかなあ。「あまのがわ」は蛇行しながら悠々と流れる。けっこう水量も豊かだし、キャンプとかカヌーとかレジャー向きの川だと思うのだがあまりにもアプローチが不便だ。クマも出たりするんだろうか。上ノ国で日本海に出る。ついに半島を横断したわけだ。線路は海岸沿いの高台を走り、海がよく見える。奥尻島が見えないかと探してみるが、天気が悪いのかそれとも遠すぎるのか、あるいはそもそもここからでは見えないのか、水平線しか見えなかった。終点の江差駅は町はずれの高台にあり、街並みはその先に広がっているのが見えるけれど線路はそこまで行かない。駅前にはコンビニ風の商店が一軒。昼どきなのだが他に食べ物を入手できそうなところが見あたらないので、おにぎりなど買って待合室で食す。駅前の道路を横切って向かいの駐車場の端まで行って見ると、眼下には国道、その先に海。右手はるかに江差の市街地と港、港の沖の鴎島と観光施設(だと思う)の帆船が。
同じ車両で折り返す。帰りは半分くらい記憶を失っていた。「あまのがわ」駅を確認しようと思っていたのだがそれも見逃した。渡島鶴岡を出ると、右前方に近代的なコンクリート橋が見える。言うまでもない、青函トンネルにつながる海峡線だ。新幹線が走っていても不思議でないくらいの立派な線路である。ひょっとしたらそのうちこの橋の上を本当に新幹線が走ることになるのかもしれないが。木古内着。予定ではこのまま乗り続けて函館に戻るはずだったのだが、車内アナウンスが「15時7分発」と言うのを聞いて一瞬「?」と思いさらに一瞬後「!」と思う。48分待ちですか。時刻表を調べてみると、15分くらい後に函館行きの特急が来るらしい。待ってられないのでここで特急に乗り換えることにする。特急が来るほうのホームに降りてみると、これが妙に長い。15両くらい余裕で停まれるんじゃないかなあ。これから乗る予定の下り特急が来る少し前に上り特急が来るらしいので、ホームの先端から写真を撮ろうと歩き始める。まだ先端までたどりつかないうちに、ふとうしろを振り返ってみると下り列車が接近してくるヘッドライトが見えた。しばらく見ているうちに「あれはひょっとしてED79ではなかろうか」と思えてきた。とすると、コンテナ急行貨物だなあ。やがて、ED79重連に牽かれた急貨が、目の前のホームに停まった。ここでこれから三十一が乗ろうとしている特急列車に追い抜かれるのだろう。貨物列車好きの三十一にとっても、これだけ近い距離で停まっている貨物列車を見ることができるのは滅多にない機会だ。こんなチャンスは逃してなるものかと嬉々として写真を撮りまくった。見たかぎり、コンテナ車はみんなコキ50000のようでした。

やがて上りの特急が函館方面から到着して青森方面に去り、入れ違うように下りの特急が入ってくる。ホームの反対に停まっている貨物列車に後ろ髪をひかれながら乗り込む。今度は海側に席がとれました。海の向こうに函館山が見える地点では、ちょうど山に薄く虹がかかっていた。いちおう撮って見たけどわかるかな。函館山のちょうど真ん中あたりなんですが。

Pa130052

さて、予定が変わってしまったのでこれからの行動を考える。もともと、17時前のスーパー北斗で札幌に行く予定だった。ひとつは、同じスーパー北斗に乗ることにして、1時間ほどできた余裕で函館市電の残りの区間に乗るというプラン。既述の通りこの区間は既乗なのだが、夕方から夜にかけてだったのであまり景色は見えなかった。もうひとつは、一本前の北斗に乗って札幌に早く行くプラン。この北斗なら、長万部あたりまではまだ日があり外の景色を見ることができるだろう。その変わり「スーパー」でない北斗(183系)なので時間もかかるしシートも悪い。結局、初めて見る街中の景色よりも、何度も見た海や山や沼の景色のほうが勝利し、多少なりとも日のあるうちに北斗で札幌に向かうことにする。北斗の自由席は札幌側端の5号車と4号車。とりあえず先頭の5号車に乗りこんだ。はじめ適当に海側に席をとったのだが、よく見ると前方の景色が見えることになっている。一番前の席はすでに占領されていたが、できるかぎり前のほうに席を移す。この席のおかげで、函館から長万部を少し過ぎるあたりまでの乗車は実に楽しかった。頭上に余計な架線も見えないし、DF200の牽く貨物列車、スーパー北斗、DD51の牽くトワイライトエキスプレスなどとすれ違う。七飯から藤城線に入るあたりでは、頭の中で「銀河鉄道999」が鳴り響いた。細かく書くときりがないので前方展望についてはこのくらいで。

今日一日で江差線のうち青函ルートから外れた区間と、函館市電の未乗車区間を乗り終えたので、北海道の(地下鉄を除く)鉄道/軌道のうち未乗車なのは札沼線と千歳線の南千歳-新千歳空港間だけになった。

今日の旅程:
函館駅前(0850頃)→谷地頭(0905頃) 函館市電
谷地頭(0905頃)→十字街(0910頃) 函館市電
十字街(0915頃)→函館どつく前(0920頃) 函館市電
函館どつく前(0925頃)→函館駅前(0935頃) 函館市電
函館(1012)→江差(1234) 122D
江差(1313)→木古内(1419) 125D
木古内(1436)→函館(1512) 4009M
函館(1523)→札幌(1859) 5015D

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