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2009年11月24日 (火)

歓迎光臨 梁光烈

念のために言っておくが、本気で歓迎しているわけでもない(とは言え拒絶するわけでもない)ので勘違いしないように。この blog の特にタイトルはほとんどの場合ひとつかふたつひねってある。

梁光烈・中国国防部長の来日について (防衛省)

中華人民共和国国務院は日本で言えば内閣にあたり、国防部長は防衛大臣に相当する。非軍人の政治家が防衛大臣になる日本やアメリカ・欧州諸国と違って、中国国防部長は代々制服組の軍人の役職で、梁部長は中国人民解放軍上将の階級を持つ。上将は他国の大将にほぼ相当する。かつては上将のさらに上に大将と元帥の階級が存在したが建国直後の1955年に任命されたきりで現在は該当者はいない。

さてでは国防部長は制服組のトップかというとそうはいかない。中華人民共和国国務院国防部の他に、中国人民解放軍には4総部と呼ばれる総参謀部、総政治部、総後勤部、総装備部があり、それぞれの長である総参謀長(陳炳徳)、総政治部主任(李継耐)、総後勤部部長(廖錫龍)、総装備部部長(常万全)はやはり上将が任命される例になっており、国防部部長とあわせた5名が人民解放軍の役職のトップグループを形成している。現国防部部長梁光烈は総参謀長からの転任、前国防部部長の曹剛川は総装備部部長からの転任で、この5名の中では国防部部長は格上である。

ところが、いろいろな形で組織を重層的に構築し、それを人格的に統合して運用するのが中国共産党のやり方でここもその例外ではない。ここで名前が挙がった面々はもちろん例外なく共産党員であるのだが、また同時に中央軍事委員会のメンバーでもある。共産党が人民解放軍を指導統制する組織は、5年に一度の党大会で選出される中央軍事委員会だ。中央軍事委員会は、主席1名(胡錦涛)、副主席(現在2名)、委員(現在8名)で構成されている。国防部部長および4総部の長は全員中央軍事委員会委員を兼ねている。なお、共産党中央軍事委員会と別に全国人民代表大会(日本の国会にあたる)で国家の中央軍事委員会も選出されるが、メンバーはまったく一緒だ。
実はかつては国防部部長が中央軍事委員会副主席を兼ねるケースが多かった。例えば前任者の曹剛川や、前々任者の遅浩田などである。しかし曹剛川が勇退し梁光烈総参謀長が国防部部長に横滑りしたとき、中央軍事委員会の中ではヒラの委員に留め置かれた。結果として、中央軍事委員会の制服組のトップになる副主席には元総参謀長の郭伯雄と元総政治部主任の徐才厚という、実職をもたない軍人2名が配置されることになった。
理由はもちろん公表されていないので推測するしかないが、実組織を直に掌握しているメンバーをヒラの委員に留めておくことで、解放軍の党中央に対する影響力に枠をはめようとしたのではなかろうか。

中央軍事委員会の重要性はあまり認識されていないが、鄧小平が実質的に中国の最高権力者であった時期、国家主席にも党総書記にも国務院総理にも就任せず肩書きにこだわらない姿勢を見せていた中で、中央軍事委員会だけは主席として直接掌握していたことで想像できるだろう。さらに言うなら、鄧小平から中央軍事委員会主席を譲られた江沢民は、後継者の胡錦涛に国家主席・党総書記の職を譲ったあともなお2年近くのあいだ中央軍事委員会主席にとどまっていた。

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