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2010年2月 6日 (土)

「兵士に告ぐ」


単行本では買わないけれど、文庫になれば読むシリーズの第4弾。
人間としての自衛官個々に密着、直接取材して"コマ"とみなされがちな自衛官ひとりひとりの個性を浮き彫りにする希有な本ではあるのだが、マスコミ出身者にありがちな「自分の感じ方」をおしなべて「一般人の感じ方」と同一視してしまう傲慢さがところどころ透けて見える。ま、確かに三十一の感じ方も一般人とは違うんだろうけどさ。

細かいことを言うなら、「アメリカンフットボールのクオーターバックのような大男」という表現にまず首をかしげた。筆者は、クオーターバック以外にアメフトのポジションを知らないんだろうなあ。アメフトのチームでは「大男」であることが第一に求められるのはオフェンスラインであってクオーターバックではない。同じ能力なら大きいほうがいい、というくらいでクオーターバックにまず求められる資質はもっと別のものだ。
それから、海自の基地では国旗降下は日没だったはず。5時と決まっているわけではないので、「この時刻、(略)そして埠頭に停泊している護衛艦の甲板や潜水艦の艦内で、二十四万の隊員が一時的にせよ動きを止める。」というのは海自については正確でない。

重箱の隅をつつくのはこれくらいにして、筆者の「民主主義の対極にある存在と見られてきた自衛隊が実はもっとも律儀に、愚直に民主主義を守ろうとしている組織ではないか」という指摘は重要だ。逆に言えば、非民主的にみられるからこそ、自らの存在意義を保つためにほんのわずかでも民主性に疑義を抱かれてはいけないという強迫観念にがんじがらめになっていた面もある。利益に奉仕する非民主的組織である私企業に勤める三十一から見ると、ときには「そこまでしなくても」と思わなくもないが、60年かけてそういう組織風土を作ってきたのは有権者である国民自身だ。

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