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2010年3月 2日 (火)

「世界の歴史11 ビザンツとスラヴ」


このシリーズ全30巻の中でもマイナーなテーマに含まれる巻だろう。ということはつまり、三十一好みということだ。実際のところ、読み終わるまでに3日か4日しかかかっていないだろう。

いきなり巻末の話になってしまうが、参考文献でしょっぱなに掲げられている次の本

(そのころは文庫になっておらず講談社現代新書だった)を読んだ記憶があるぞと思っていたら著者同じひとですね。あとがきにもある通り著者は「日本のビザンツ史で5本の指に入る」専門家で、それはつまりそれだけ層が薄いということであるのだが、何年か十何年かを隔てて同じような本を読む羽目になるというのも芸がないなあ。ただし、読み終わるのにかかった時間が示すごとく、楽しく読めたのは間違いない。

この本はタイトルが示す通り、ビザンツとスラヴの2部構成になっているのだが、三十一にとってより新味があったのは後半のスラヴだ。ロシアだけでなく、セルビアやブルガリア、ハンガリーやポーランドやチェコといった東欧諸国をまんべんなくとりあげている。厳密にいうとハンガリーとかルーマニアはスラヴに含まれないけど、地域的には周囲のスラヴ諸国と無関係ではいられないからここでとりあげるのがやはり適当だろう。
東欧地域のヨーロッパ化(というのはつまりキリスト教化)は9世紀から10世紀ころ。西欧のキリスト教受容は4~5世紀頃だからだいぶ遅れているように思えるが、国家の形成という観点から考えるとシャルルマーニュの戴冠やオットー大帝による神聖ローマ帝国の成立と比べてそれほど遅れているわけではない。ポーランドのヤゲロー朝は当時ヨーロッパでもっとも有力な王家のひとつで、ポーランドのみならずリトアニアやハンガリーまでも支配していた時期もある。しかし総じて東欧では貴族の勢力が強く、強力な王権の発達を妨げる傾向が強かった。それが近隣諸国の干渉する余地をつくってしまい、結果として近代にいたって西欧に遅れをとることになったのだろう。

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