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2010年4月28日 (水)

「日本特設艦船物語」


特設艦船というのは、平常時に私企業が運行している商船や漁船を戦時に徴用して海軍が使用しているもの、というのが一般的な説明だろうけど実はそれでは正確ではない。実は海軍が徴用した船舶の大部分は、あたかもチャーター船のように固有の乗員が乗船したまま軍の要求により貨客を目的地に運送するという役割を果たすので、いわばたまたま荷主が軍である、というだけで実際には私船と変わらないし、国際法上もそのような扱いを受ける。
これに対して特設艦船は、海軍軍人が乗り組み海軍将校が指揮し、さらに軍艦旗を掲揚することで国際法上の「軍艦」たる要件を満たし、構造と出自こそ商船や漁船ではあるもののまったく正規の軍艦と変わらない取扱いを(国際法上は)受けるものである。いわばパートタイムの軍艦、といえる。

どこの国でも平時から戦時所要の兵力を常に確保しておくような余裕はないから、戦時にはこのような特設艦船が多く利用されて任務に投入される。もちろん日本海軍も例外ではない。むしろ日本海軍は第二線兵力の大半はこれら特設艦船に依存することを前提として戦力整備を進めてきた。実際、太平洋戦争で特設艦船として運用された船舶はおよそ1400隻にのぼるという。単純に隻数で比較すると、正規の軍艦よりも特設艦船のほうが多かったのである。

三十一はこんなサイトを作ったりしているが、この中で弱点があるとするならまず特設艦船であろうと思っている。特設艦船については雑誌などで取り上げられる機会も少ないし、まとまった資料もない。戦史叢書にもまとまった記述はなかったはずだ。一番確実なのは海軍の原資料にあたることだろうが、そんなツテも時間もないし、そもそも資料もかなり散逸してしまっているだろう。1970年代から1987年頃まで「世界の艦船」誌上に不定期に連載された「日本海軍艦艇史資料」という記事があって、太平洋戦争中の特務艦船を含む艦船の入籍・除籍・転籍などについてはかなり良質のデータだったのだが、三十一が手に入れているのはこの連載の末期のほうだけであって、はじめのほうはバックナンバーを探すしかなく到底そろえられなかった。編者の海老原惇氏はどうも未完成のまま物故されてしまったらしく、連載は未完のまま中断してしまっている。できてるところまででもいいからまとめて刊行してくれないかなあ。そしたら一冊は売れるのに。

ともかくも、この本が特設艦船についてはかなり希少な資料であることはまちがいない。これをきっかけに、三十一のサイトも改善できたらいいなあと思っているが、いまのところは思っているだけである。

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