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2010年6月15日 (火)

「追悼山本五十六」


水交社というのは、「君子の交わり水の如し」という漢籍の句からその名をとった海軍の親睦団体であった。戦後一時廃止されていたが、のちに財団法人水交会として復活した。
水交社が発行していた「水交社記事」という機関誌で山本五十六の戦死後の昭和18年9月に特集されたのが「追悼山本元帥」である。この号では山本ゆかりの人物38名の寄稿が含まれていたそうだが、本書ではそのうち28名分を掲載している。

実はこの「水交社記事」は例えば阿川弘之「山本五十六」などでも引用されていて、存在自体はけっこう知られていたと思う。しかしこういうまとまった形で刊行されたのは初めてだろう。もともとが関係者だけに配布される出版物であって広く読まれるような性格のものではなかった。もっとも、それだからこそ戦中の時代にあって比較的率直に記述できたという面もあろう。

この中でもっとも貴重なのは三和義勇大佐の「山本元帥の思い出」であろう。文庫で50ページあまりと飛び抜けて分量も多く、また山本の肉声を多く収めている。ただ阿川「山本五十六」によれば原文に多少の添削が加えられているという。

三和大佐は別格として、ほかに三十一が興味深かったのは伊藤整一中将、それから山縣正郷中将の寄稿だ。考えてみれば三和大佐も伊藤中将も山縣中将も山本と同じく戦死してしまっている。生き延びていればもっと貴重な証言を沢山残してくれたかもしれないと思うと惜しい。

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