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2010年10月31日 (日)

「中原の虹」


通説では悪役とされている人物を、違った形で描写してみるという手法は小説ではある意味定番のひとつである。足利尊氏とか平清盛とかね。
中国近代史で最大の悪役と言えば西太后と袁世凱がまず挙げられる。かたや清朝末期に実権をにぎって国政を壟断した女傑であり、かたや軍閥を握って幼帝や共和主義者を手玉に取る野心家とされてきた。そしてこの本ではまさにこの二人を王朝よりも民を思う政治家に仕立て上げている。袁世凱は少し間抜けに描かれているけど。
こういうやり方の通弊として、必要以上に有能に描かれてしまうことがある。西太后なんてまるでスーパーマンだよ。ちょっとそれは行きすぎでないかいと思った。

実はこの本の主役はかの満洲某重大事件で殺害された張作霖なんだけど、当の張作霖については内面に迫るような描写がほとんどない。ほぼ一貫して一般人には不可解な人物として描かれている。それも読んでいてなかなか入り込めない理由のひとつのように思う。

しかし何より、三十一はオカルトが嫌いなのである。天命のしるしとされる「龍玉」をめぐって騒動がおきるのはいいとしても、それに本当に超自然的な力をもたせるのは勘弁して欲しいなあ。

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