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2011年5月15日 (日)

「十字軍物語2」



この作者の本はいつも面白く読み終えることができる。この本も多分4日間くらいで楽しく読み終えた。しかし今回は読んでいて少し違和感を感じた。面白すぎるのだ。

その理由としては、わかりやすいというのがあるだろう。さすがに単純な善玉悪玉という構図にはなっていないものの、有能なサラディンと無能なイスラエル王という対照的なキャラクターを抜き出して必然的な十字軍国家の破滅へとつながる道筋を描き出している。三十一が読んでいてつくづく思ったのは、「ああこの人は歴史家ではなく小説家だなあ」ということである。現実の歴史はそんなにわかりやすくない。歴史を過不足なく評価しようとするとどうしてもある程度わかりにくくなってしまう。その面倒さを避けていては本当の歴史をわかったことにはならない。わかったような気がしているだけだ。三十一もかつてはそんな感じだったのかもしれないね。

善玉・悪玉はなくとも好き嫌いははっきりしているようだ。例えばテンプル騎士団と聖ヨハネ騎士団ではどうみても後者に肩入れしている。塩野七生はボードワン4世、バリアーノ・イベリン、サラディンが好きで、ギィ・ド・ルジニャン、ルノー・ド・シャティヨンが嫌いらしい。聖ベルナールもきっとあんまり好きじゃないよね、このひと。

三十一がこれまで多くの歴史書を読んできて目が肥えたのか、あるいは作者の力量が衰えたのか、またはその両方なのか。

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