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2012年3月10日 (土)

「スーパーアース」


右の柱でも紹介している「異形の惑星」の続編と言っていいだろう。この本の存在は実は今年の「SFが読みたい!」の中で松浦さんが取り上げていたので知ったのだが、よく考えてみると「異形の惑星」のほうもまったく同じ経緯をたどったような気がする。なお、「異形の惑星」は今ももちろん持っており、ありかも把握しているのだが昨年の地震で書籍流が発生してアクセス不能になっている。


前作は2003年の刊行で、この本との間には8年しか経っていないのだが、その間に太陽系外惑星についての研究は大きく進展している。本書の題名になっている「スーパーアース」とはその中でも最大の成果と言える「地球型惑星」のことだ。現時点では地球の数倍程度の岩石型惑星がいくつも見つかっている。前作の段階では、木星程度あるいはそれよりもさらに大きい巨大ガス惑星ばかりが発見されていた。遥か彼方の恒星をめぐる惑星を発見するためには、その惑星がある程度大きくなければならない。間接的発見法であるドップラー法、トランジット法、重力レンズ法にせよ、直接撮影にせよ、大きい惑星のほうが発見しやすいのは言うまでもないだろう。しかしこの精度も前作からの数年でもはるかに向上して、上記のような比較的小さな惑星でも検出できるようになった。今後はそれほどの劇的な精度向上はのぞめないかもしれないが、例えば人工衛星を使って大気圏外から観測するとか、多数の観測結果を情報処理することで精度を上げるなどの工夫が考えられよう。あるいはこれまでとは別の原理による新しい観測方法が提案されるかもしれない。

これまでの恒星系形成理論は、太陽系をモデルとして考えられてきた。理由は単純で、サンプルが太陽系しかなかったからだ。しかし、1995年にペガサス座51番星ではじめて系外惑星が発見されて以来、すでに500個を越える惑星が太陽系の外で発見されている。一般化するにはまだサンプルは充分とは言えない。特に現時点ではまだ検出精度の限界のため比較的大きな惑星しか発見できていない。それでもこの宇宙にはわれわれの太陽系と比べてかなり様相の異なる恒星系が多数存在することがわかってきている。こうした現状から、これまでの恒星系形成理論は大幅な見直しが必要になった。まったく否定するというのではなく、こうしたバラエティに富んだ恒星系にも適用できるように拡張が必要になってくる。こうした作業からより一般的な恒星系形成理論がある程度確立してくると、今度は逆にどういう条件が加わればわれわれの太陽系のような恒星系が形成されるのかがわかることになる。その条件を満たした恒星系では、地球と同じような惑星が存在している可能性が高いということが言えるだろう。

ところで、著者が主催するGCOEプログラムが例の事業仕分けで批判されて予算がどんどん削られてるとか。これこそ「二番じゃダメ」なんだけどなあ。

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