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2012年7月 8日 (日)

ミサゴは飛べるか

最近話題の V-22 オスプレイだが、三十一から見てみると「ようやく実戦配備か」という感覚だ。

改めて調べてみると、オスプレイの開発が始まったきっかけはイラン革命当時の大使館人質救出作戦の失敗の戦訓で充分な速度と航続力、搭載能力を持ちながら垂直離着陸が可能な機体が要望されたことにあった。今から30年以上前になる。
三十一が初めてコンセプトデザインを目にしたときに「うそくせー」と感じたことを何となく覚えている。それから実際の開発が始まったわけだが、開発費の高騰で国防省がキャンセルしようとしたこともあった。このときは議会の反対で開発が継続されたといういきさつがある。国防省が主導している開発計画に議会が異を唱えるケースは少なくないが、その反対は珍しい。
初飛行は1989年というから、それから数えても優に20年を越える。試作機の墜落事故があいつぎ、せっかく議会の後押しで復活した計画の前途が危ぶまれたのもこの時期だ。実戦配備が始まったのは2005年で、最近の開発期間が長くなりがちな傾向を考慮に入れても順調に開発が進んだとは言い難い。しかし事故の履歴を見てみると2000年以降今年まで墜落事故は起きておらず、極端に事故が多いとは言えない。新しい構造の機体であるということと、特定の時期にかたまって事故が起きたという事実から機体の信頼性によくない印象がもたれてしまった。「統計的にはこれまでの在来型ヘリに比べて事故率が高いわけではない」という当局の説明も嘘ではないのだろう。

ただし、「30年もかけて開発してきたんだから安全だ」という意見に三十一は与しない。固定翼機やヘリコプターといった、これまでの機体と基本コンセプトを同じくする機体ならば30年は充分な時間だろう。だがオスプレイはティルトローターというこれまでになかった(アイデアはあったが実用化された機体はない)構造を持つ。さらに言えば、運用する側がこういった新しい機体に対して慣れるまでには相当な時間がかかるだろう。固定翼機またはヘリとは相当に操作感覚が異なるだろうし、運用ノウハウもこれから蓄積されていくことになる。訓練部隊への配備がはじまってからでも10年そこそこ、単に新装備というだけではなく繰り返しになるがティルトローターという新しいカテゴリーの機体が充分に定着するにはもうしばらくかかるのではないか。そういう意味ではリスクはある。在来型のヘリでは思いもつかなかったような根本的な弱点がどこかに隠れている可能性は否定できない。逆に言うと、そういうリスクを洗い出すためには使い倒していくしか方法がないわけだが。

結局、オスプレイが安全な機体になるかそれとも巷間言われているような危険な機体なのかは、むしろこれからの育て方次第だろう。

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