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2012年10月25日 (木)

五年に一度の

先日も触れたことだが、来月8日から中国共産党の第18期党大会が予定されている。党大会は党の最高決定機関とされていて、文革終結後の1977年から五年ごとに開催されている。

党大会では、総書記による報告と党綱領改正の審議などが行なわれるが、最も注目を集めるのは人事だ。厳密に言うと党大会では約200名の中央委員を選出し、その中央委員が党大会直後の第一次全体会議で党首である総書記や、政治局委員、政治局常務委員などを選出する手はずになっている。特に今回の党大会では、現職の総書記・胡錦濤や総理・温家宝などが退任することが確定しており、その後任人事が注目されている。

現職の政治局常務委員は9名。このメンバーが中国の事実上の指導部で、奇数にするのが慣例だ。ちなみに江沢民時代は7名で、鄧小平時代は5名だった。

1. 胡錦濤 1942年生 70歳 総書記、国家主席
2. 呉邦国 1941年生 71歳 全人大委員長
3. 温家宝 1942年生 70歳 総理
4. 賈慶林 1940年生 72歳 政協主席
5. 李長春 1944年生 68歳 宣伝思想工作指導小組組長(イデオロギー担当)
6. 習近平 1953年生 59歳 国家副主席
7. 李克強 1955年生 57歳 副総理
8. 賀国強 1943年生 69歳 紀律検査委員会書記
9. 周永康 1942年生 70歳 政法委員会書記(治安担当)

この現職9名の中で、次期常務委員に留任するのは習近平と李克強の2人だけ。残りは主に年齢の関係で勇退となる。習近平が次期総書記・国家主席、李克強が次期総理となって2期10年つとめるのはもう既定路線だ。

代替わりしたそのアナを埋めるのはヒラの政治局員となる。政治局員は現在24名、うち9名が常務委員だからヒラは15名。

x 王剛   1942年生 70歳 政協副主席
x 王楽泉 1944年生 68歳 政法委員会副書記
x 王兆国 1941年生 71歳 全人大副委員長
- 王岐山 1948年生 64歳 副総理
x 回良玉 1944年生 68歳 副総理
x 劉淇   1942年生 70歳 北京市党書記
- 劉雲山 1947年生 65歳 中央宣伝部長
- 劉延東 1945年生 67歳 国務委員
- 李源潮 1950年生 62歳 中央組織部長
- 汪洋   1955年生 57歳 広東省党書記
- 張高麗 1946年生 66歳 天津市党書記
- 張徳江 1946年生 66歳 副総理兼重慶市党書記
- 兪正声 1945年生 67歳 上海市党書記
x 徐才厚 1943年生 69歳 軍事委員会副主席
x 郭伯雄 1942年生 70歳 軍事委員会副主席

バツ印は年齢的に引退が確定なので、昇格の候補は8名。若手のホープ、李源潮と汪洋は昇格の可能性が高い。紅一点の劉延東も昇格の可能性がある。もし常務委員の枠が7名に減ったとすると、残り2枠を5人で争うということになる。
ここでポストから考えて行こう。国家主席兼総書記、全人大委員長、総理、政協主席という国家レベルの首脳級ポストは常務委員が兼ねる例である。イデオロギー担当と筆頭副総理も常務委員を兼ねる例が多い。次代の総書記候補には決まった役割は与えずに無任所に置いて党の組織工作に専念させるようだ(肩書きとしては党書記、中央党校校長など)。これで7ポスト。現在常任委員に入っている紀律検査委員会書記と政法委員会主任は、もし常務委員が7名ということになるとヒラの政治局員の役割になるだろう。今回昇格の若手2人(李源潮、汪洋)には「三権の長」の一角である全人大委員長や政協主席にはまだ格が不足している。劉延東の政協主席はあるかもしれない(女性の政協主席は過去にも例がある-鄧穎超)。そうなると、国会議長にあたる全国人民代表大会常任委員会委員長(全人大委員長)をつとめる役回りが必要だ。候補になるのは比較的年長の兪正声になる。上海市党委員会書記から全人大委員長というジャンプアップは少し無理があるような気がするが、上海閥は江沢民の地盤だ。兪正声の昇格があるかどうかで、江沢民の影響力がまだ残っているかどうかを測ることができるかもしれない。
残り1枠は比較的若い王岐山か。
7名だとすると、三十一の予想は以下の顔ぶれ。

1. 習近平 1953年生 総書記、国家主席
2. 兪正声 1945年生 全人大委員長
3. 李克強 1955年生 総理
4. 劉延東 1945年生 政協主席
5. 王岐山 1948年生 イデオロギー担当
6. 李源潮 1950年生
7. 汪洋  1955年生 副総理

もし7人に絞りきれなかった場合の残り2名は、

8. 劉雲山 1947年生
9. 令計画 1956年生

令計画はヒラの政治局員ですらないが、党中央の実務機関である中央書記処の書記の地位にある。現在の筆頭書記は習近平(兼任)だ。

さて、実は去年まで常務委員の本命と見られていた人物がいる。薄煕来 (1949年生、重慶市党書記)だ。習近平と同じく太子党(党高官の子弟)で、かつての海岸部から発展の中心が移りつつある内陸部で先頭を切ってきたのだが、念願の常務委員昇格を目前にしてすべての党職務から解任され、さらに党を除名されて完全に失脚した。

政治局常務委員とならんでもうひとつの注目は、中央軍事委員会主席の人事だ。これまで鄧小平も江沢民も、総書記の地位を譲りながらも軍を握る中央軍事委員会主席の地位は手放さなかった。本当の党のトップは総書記ではなく中央軍事委員会主席であるのかもしれない。果たして胡錦濤は前任者たちのように中央軍委主席にとどまるのか、それとも案外あっさりと習近平に譲ってしまうのか。

さて当たるも八卦当たらぬも八卦。

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