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2013年1月27日 (日)

「日本共産党の研究」


全3巻だがとりあえず書影は1巻だけで。もちろん全部読みましたよ。

ある日のこと、三十一が日本共産党よりも中国共産党について遙かに詳しいことに気がついた。そこで、同じくらいとまではいかないにしても、もう少し自分の国の共産党について知っておいた方がいいだろうと考えてまず読んでみたのがこの本だ。文藝春秋連載時から37年、文庫版刊行からでも30年なのでもうすっかり古典だが、古典だからこそ客観的に読めるだろうと考えたのだ。

日本共産党は、現存する政党では唯一戦前から存続している政党、ということになっている。既成政党は大政翼賛運動で大戦直前に一斉に解散してしまったからそういうことになるのだが、実際のところ大政翼賛運動時点では共産党は実質上壊滅していて実態がなかった。

この本ではもっぱら戦前の歴史をとりあげているのだが、著者はこの歴史の中から現在の(執筆時点での現在の)共産党に根ざしている体質の源流を見出している。

著者が指摘している共産党の本質はまず「民主集中制」である。つまり、下部組織には上部組織に対して意見を述べる権利があるものの、いったん上部組織で決定された指示は無条件に実行されなくてはいけない、という原則だ。これを読んで「会社みたいだな」と思ったのは三十一だけだろうか。
三十一は会社組織の中にいて会社が「民主的な組織だ」と感じたことは一瞬たりともないので、その会社と類似の原則で動いている共産党という組織も・・・ムニャムニャ。いわゆる「社畜」になってしまうのと共産党員になって疑問をもたずに上部の指示に従ってしまうのは、似たような精神構造なのかもしれない。

少なくとも戦前について言えば「日本共産党」は同時に「コミンテルン日本支部」であり、民主集中制の原則に従ってコミンテルン本部からの指示には絶対服従だった。コミンテルン本部というのは実質的にはソ連共産党であることは明らかだ。コミンテルンの目的は初めのうちは「世界革命」だったが、やがて世界革命の実現性が薄れると「革命の先駆であるソ連防衛」に移っていった。そして日本共産党はコミンテルンの方針変更にふりまわされ続ける。日本の状況を正確に把握していないコミンテルン中央の指示に従って行動した結果、検挙されることを繰り返して壊滅した。

現在は少なくとも表面上は武装路線は放棄しているが、そもそも共産党は既存の政権を物理的手段で打倒する(つまり革命)ことを目的とする組織だから、本質的には非合法組織だ。官憲による検挙は当然想定されるわけで、自ら非合法組織たらんとするならば対抗手段を準備していてしかるべきだろう。しかし日本共産党は1922年の創設以来毎年のように党中央が検挙され、その都度再建するということを繰り返しているうちに指導部がどんどん小粒になりついには壊滅に至った。これを現在の共産党は「官憲の迫害によるもの」としているけれど、もともと覚悟していたはずの「迫害」で組織が縮小してしまったのは非合法組織として「落第」と言うほかない。

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コメント

会社は古い体質ですよね。
会社と共産党が同じような構造というのは新しい発想ですね。

投稿: starfield | 2013年1月29日 (火) 20時35分

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