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2013年2月22日 (金)

Wikipedia を信じない。

久しぶりに Wikipedia に誤りを見つけた。

大山崎町 (Wikipedia)

河の南という意味で「河陽(かや、かよう)」の別名がある。

地図を見てみればわかるけど、大山崎町はどう見ても河(桂川、宇治川、木津川)の北にある。ではどうして「河陽」なのか。「陽」を単純に南と考えるのは間違いで、本来の意味は「ひなた」、「日の当たる場所」ということだ。凸地である山では、日当たりがいいのは南向きの斜面、つまり南側だ。だから「山陽」は山の南である。しかし、凹地形の河では、日当たりのいい南向き斜面は河の北側になる。だから「河陽」は「河の北」を意味する。漢和辞典で「河」「陽」をそれぞれひいてみるがいい。

約2500年前に孔子がまとめたと伝えられる「春秋」の僖公二十八年条に

天王狩于河陽(天王、河陽に狩す)

とある。この文はいわゆる「春秋の筆法」の代表例としてよく知られているが、ここではそれは問題ではない。日本では「河陽」に「かわのきた」と訓じている。もちろん、昔の人はこういう典拠を知った上でこの地を「河陽」と呼んだのだろう。そんな由来も知らず、実際に地図を確かめることもせず、よく知られた「山陽」などの字面からの曖昧な類推を自信満々に書き連ねて公開すると恥をかくことになるので注意するがよかろう。

この文章を書くために「春秋」を探したのだが、いつものごとくアクセス不能だったため、ネットに頼らざるを得なかった。

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2013年2月21日 (木)

一度あることは二度ある

今日、会社でかわされた三十一と同僚の普通ではあり得ない会話。

同僚「昨夜は何時くらいに寝たんですか?」
三十一「うん、一度目はね・・・・」

「一度目」と言うからには「二度目」もあったのである。
昨夜は、2時くらいに「一度目」に寝たと思ったら3時半くらいに会社から電話がかかって来て起こされ、5時前くらいに「二度目」に寝て8時半に起きた。

夜中に仕事するのは久しぶりだなあ。

今日はもう寝ます。今夜は「一度だけ」寝られたらいいな。

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2013年2月18日 (月)

隕石と定量分析とスケール感

ロシアに隕石が落ちたとき、ちょうど三十一は熱を出して会社を休んでいたので臨時ニュースで知った。しかし熱があったので、ちょっと tweet したくらいの反応しかできなかった。

この手の事件が起きるとどうしてもマスコミの間抜けなコメントが目につく。テレビのニュースを見るかぎりでは、どの局も隕石の入射角にまったく触れていないのはどうしたことか。翌日に最接近した 2013DA14 との関連を云々するわりには、関連性を判断するためにもっとも重要な情報を報じようとしないのは理解できない。結局、英文版の Wikipedia が一番てっとり早いだろうと思って参照したところ、概略で東北東から西南西の方向に飛来したらしい。南極方向から接近するとされていた 2013DA14 とは明らかに方角が違う。もっとも、一部の「専門家」は当日くらいの段階で「関連している可能性がある」と述べていたけれども、大勢としては「関連は薄い」との見方が当初から強かったように思える。現在ではほぼ「無関係」というのが大方の見解のようだ。

そのマスコミの「間抜け」なコメントの中で一番気になったのが「隕石が"爆発"した」というもの。いったい隕石の"何"が爆発したものやら、小一時間問いつめたい。推測では隕石は径およそ17m、質量は 10 キロトンと見積もられている。速度は 30km/s から 15km/s まで幅があるが、イメージするなら定期旅客機の100倍の速度と考えればいいだろう。超音速で衝撃波が発生するメカニズムはわからなくても、普段の生活ではまず考えられない想像を絶する速度であることは理解できよう。
実は、爆発によって被害をうけるのは大半は衝撃波の力である。爆発のため超音速で膨張した大気によって衝撃波が発生するのだ。実際に遭遇した人々が衝撃波を「爆発」と区別できなかったのは無理はない。NHKでも未だに「爆発した」と言っているが、誰か訂正する人もいないのかな。NHKに出ていた「専門家」は「衝撃波を爆発と思ったんだろう」とコメントしていたのにね。

こういう「ずれ」の多くはスケール感の欠如によって起きている、というのは以前にも書いたことだ。大気圏内をジャンボジェットの300倍の重さの物体が、ジャンボジェットの100倍の速度で飛んだときに何が起こるかというのを想像するのは確かに難しい。訓練ができていないとどうしても日頃の感覚の延長で類推してしまうが、せめて「何桁違う」くらいでもいいから定量的に評価するようにしないと、マクロ(とミクロ)な現象を本当に理解することはできない。

高校生のころだったと思うが、教科書の隅っこに地球・月系を(もちろん大まかではあるが)正しい縮尺で作図してみたことがある。地球をページの下端、月を上端に置いてみると地球が直径3mm強にしかならなかったのを見て目からウロコが落ちたような気がした。ぜひ一度お試しを。

地球の半径:6400km(34万分の1で 1.88mm)
月の直径:1700km(34万分の1で 0.5mm)
平均公転距離:380000km(34万分の1で 11.18cm)

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2013年2月 7日 (木)

「宇宙の傑作機 NK-15/33」

昨年末の冬コミ新刊。書影はこちらで

NK-33 はロシア製のロケットエンジンで、宇宙の傑作機シリーズでは以前の「RD-170」についで取り上げられている。著者も同じだ。
いきなり後書きに話が飛んでしまうが、その中で著者が「この本が上梓されるころには打ち上げられているだろう」と言っていた、NK-33 エンジンを使った Antares ロケットの打ち上げは3月に延びて、まだ打ち上げられていない。

NK シリーズはロシアのクズネツォフ設計局が開発したエンジンだが、同設計局は本来ロケットエンジンを専門とする組織ではなかった。実際に同設計局がロケットエンジンに関与していたのは、1970年前後のソ連が月を目指していた比較的短い期間でしかない。
ソ連(というよりコロリョフ)が月を目指して作り上げた、アメリカのサターンロケットに匹敵するロケットは N-1 ロケットだが、サターンロケットが巨大な F-1 エンジンを5基搭載したのに対し、N-1 ロケットの1段目は実に30基ものエンジンを搭載した。N-1 ロケットは1969年から1972年にかけて4回打ち上げが試みられたが、すべて失敗した。主な原因は30基のエンジンの出力をうまく同期できなかったことにあると考えられている。この N-1 ロケットに使われたエンジンが NK-15 であり、信頼性を高めたエンジンが NK-33 である。しかし、NK-15 の代わりに NK-33 を搭載した N-1F ロケットは、月計画の中止にともなって開発が中止され、NK-33 は実際に使われることはなかった。それまでに製造された NK-33 はいくらかが燃焼試験に使用されたものの、大部分は倉庫に保管されたままになっていた。

ソ連崩壊後、これらのエンジンが発見されて試験燃焼してみたところ、現在の同クラスのエンジンと比較しても遜色ない性能をたたき出した。これを実現したのは、酸化剤リッチ二段燃焼サイクル方式と、14.5MPa という高い燃焼圧だ。ケロシン/液体酸素系エンジンで酸化剤リッチ二段燃焼サイクルを実現したのは、NK-33 と RD-170シリーズしかない。NK-33 と RD-170 は、海面上比推力 300秒という、ケロシンエンジンとしてはほぼ技術的限界に近いと言われる値を実現している。実際のところ、米メーカーが提供しているケロシンエンジンには、このクラスの手頃なエンジンが用意されていない。米アエロジェット社は NK-33 を何十台かまとめて購入して売り込みにかかった。その結果が、3月に打ち上げられる予定のオービタスサイエンス社の Antares ロケットである。

冷戦に勝利して社会主義ソ連を崩壊に追い込んだアメリカだが、気がついたらアメリカが打ち上げるロケットのエンジンの大半が資本主義ロシア製のロケットエンジンになっていた、なんてことになりかねない。

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2013年2月 5日 (火)

図体は大きいがまだまだ子供だねえ

中国海軍の艦隊が南西諸島を越えて太平洋に進出して演習を実施する見込み、という情報は聞いていたが、その動静を監視していた海自護衛艦「ゆうだち」に対して中国海軍艦艇から火器管制システム(FCS Fire Control System)から照射されたというニュースが防衛省から明らかにされた。

中国艦船が海自護衛艦にレーダー照射 (NHK NEWSWeb)

FCS 照射は一般的には「挑発」と見なされる行為で、例えるなら目の前で拳銃を向けられて撃鉄を起こされたようなものだ。不測の事態が発生することも充分あり得る。その前にも、中国艦船から海自のヘリコプターに対して FCS 照射があったということであり、中国海軍の現場に FCS 照射に対するハードルが低いということも考えられる。中国海軍は近年急速に勢力を拡大してきてしきりに外洋進出をもくろんでいるが、こういった「常識」が理屈ではわかっていても実感として染みついていないのかもしれない。つまり、外洋海軍としては外見はともかくとしてまだまだ未熟なのだろう。

照射を行なった艦艇は江衛II Jiangwei II 級フリゲートの「連雲港 Liangyungang」であったという。ちょうど先月の「世界の艦船」誌が中国海軍特集だったのだが、それによると 1999年の就役で主兵装は YJ-83 艦対艦ミサイルである。ただ、この時の双方の距離は約 3km ということで、この距離は海上ではほとんど目の前というような距離である。この距離まで接近した海上自衛隊のほうがむしろ「挑発的だ」と言えなくもない。また、この近距離では仮にミサイルを発射したとしてもとても命中しないだろう。誘導するにはある程度の距離が必要なのだ。

だがそういった点を差し引いたとしても今回の行為が充分挑発的であると言わざるを得ない。防衛省では、外務省を通じて中国に抗議したということだが、どのレベルでどういう判断から行なわれた行動なのかが問題だ。

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2013年2月 2日 (土)

2013年1月の打ち上げ

今年も早いもので残りわずか11ヶ月になりました。
色々書きたいことというか、書かなきゃいけないことがあるんだけど、とりあず毎月初の恒例なので。

Orbital Launch Chronology

先月は4件。

15日16:24GMT プレセツク/ロコット(Strela-3M x3)
27日04:40GMT 種子島/H-IIA (情報収集衛星 x2)
30日07:00GMT 羅老/KSLV 1 (STSAT 2C)
31日01:48GMT ケープカナベラル/アトラスV (TDRS K)

韓国は2009年から人工衛星の打ち上げを試みているが 2009年、2010年と連続して失敗して3度目の正直。その間に北朝鮮に先を越されてしまいましたね。
自力で衛星を打ち上げたのは、えーと、ソ連(1957)、アメリカ(1958)、フランス(1965)、日本(1970)、中国(1970)、イギリス(1971)、インド(1980)、イスラエル(1988)、イラン(2009)、北朝鮮(2012)、韓国(2013)で11番目ということか。1967年にイタリアがケニア沖の石油採掘リグを改修したプラットホームから人工衛星を打ち上げているけど、使用されたロケットはアメリカ製のスカウトなので勘定に入れない。ブラジルが1997年、1999年、2003年と打ち上げを試みているけど全て失敗した。それから10年くらいあいてるけど諦めたのかな。

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