« 「宇宙の傑作機 NK-15/33」 | トップページ | 一度あることは二度ある »

2013年2月18日 (月)

隕石と定量分析とスケール感

ロシアに隕石が落ちたとき、ちょうど三十一は熱を出して会社を休んでいたので臨時ニュースで知った。しかし熱があったので、ちょっと tweet したくらいの反応しかできなかった。

この手の事件が起きるとどうしてもマスコミの間抜けなコメントが目につく。テレビのニュースを見るかぎりでは、どの局も隕石の入射角にまったく触れていないのはどうしたことか。翌日に最接近した 2013DA14 との関連を云々するわりには、関連性を判断するためにもっとも重要な情報を報じようとしないのは理解できない。結局、英文版の Wikipedia が一番てっとり早いだろうと思って参照したところ、概略で東北東から西南西の方向に飛来したらしい。南極方向から接近するとされていた 2013DA14 とは明らかに方角が違う。もっとも、一部の「専門家」は当日くらいの段階で「関連している可能性がある」と述べていたけれども、大勢としては「関連は薄い」との見方が当初から強かったように思える。現在ではほぼ「無関係」というのが大方の見解のようだ。

そのマスコミの「間抜け」なコメントの中で一番気になったのが「隕石が"爆発"した」というもの。いったい隕石の"何"が爆発したものやら、小一時間問いつめたい。推測では隕石は径およそ17m、質量は 10 キロトンと見積もられている。速度は 30km/s から 15km/s まで幅があるが、イメージするなら定期旅客機の100倍の速度と考えればいいだろう。超音速で衝撃波が発生するメカニズムはわからなくても、普段の生活ではまず考えられない想像を絶する速度であることは理解できよう。
実は、爆発によって被害をうけるのは大半は衝撃波の力である。爆発のため超音速で膨張した大気によって衝撃波が発生するのだ。実際に遭遇した人々が衝撃波を「爆発」と区別できなかったのは無理はない。NHKでも未だに「爆発した」と言っているが、誰か訂正する人もいないのかな。NHKに出ていた「専門家」は「衝撃波を爆発と思ったんだろう」とコメントしていたのにね。

こういう「ずれ」の多くはスケール感の欠如によって起きている、というのは以前にも書いたことだ。大気圏内をジャンボジェットの300倍の重さの物体が、ジャンボジェットの100倍の速度で飛んだときに何が起こるかというのを想像するのは確かに難しい。訓練ができていないとどうしても日頃の感覚の延長で類推してしまうが、せめて「何桁違う」くらいでもいいから定量的に評価するようにしないと、マクロ(とミクロ)な現象を本当に理解することはできない。

高校生のころだったと思うが、教科書の隅っこに地球・月系を(もちろん大まかではあるが)正しい縮尺で作図してみたことがある。地球をページの下端、月を上端に置いてみると地球が直径3mm強にしかならなかったのを見て目からウロコが落ちたような気がした。ぜひ一度お試しを。

地球の半径:6400km(34万分の1で 1.88mm)
月の直径:1700km(34万分の1で 0.5mm)
平均公転距離:380000km(34万分の1で 11.18cm)

|

« 「宇宙の傑作機 NK-15/33」 | トップページ | 一度あることは二度ある »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/196234/56794382

この記事へのトラックバック一覧です: 隕石と定量分析とスケール感:

« 「宇宙の傑作機 NK-15/33」 | トップページ | 一度あることは二度ある »