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2013年6月17日 (月)

「英連邦」


昔、会社の先輩で「イギリスは古いものをずっと変えないから嫌い」という人がいたけれど、実は三十一はわりとイギリスが好きなのである。すくなくとも興味はある。そのきっかけはというと、やはり海軍という組織を語る場合にイギリス海軍をおいては語れないという現実があって、いやでもいろいろと調べているうちにその奥深さ(わけわからなさとも言う)にはまっていった。

イギリス連邦はもともと、カナダやオーストラリアなどの元英領の自治領がイギリス国王を共通の元首として戴く共同体だった。その頃の構成国はカナダ・オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカ・アイルランドといった白人主流のコミュニティーの集まりだった。いわばイギリス出身者の県人会みたいなものだった。ところが第二次大戦が終わると、インドやアフリカ諸国、中南米諸国などの非白人国家が次々と独立する一方でイギリス連邦に加入してきた。いまやイギリス連邦は54カ国、数的には非白人国家が主流をしめるようになった。この間、インドはイギリス国王を元首に戴くことをやめて独自の大統領をもつ共和国となったが、イギリス連邦には残った。こうなるともはやイギリス連邦とは何か、という説明自体が難しい。近年はモザンビークやルワンダのようにかつて英領だったこともない国が加盟している。

本国イギリスがかつてに比べてはっきりと軸足をヨーロッパに移しており、イギリス連邦との関係は弱まる傾向にある。それでもイギリス連邦は、文化やスポーツ、教育システムといった基盤を共有する国々の集まりとして一定の存在感を示し続けている。著者が指摘しているのは、ヨーロッパやアフリカと言った地域的な集合でもなく、また特定の民族に依存するわけでもない、多様な地域や民族から成り立った集合体は、ある意味国際社会の縮図である。いまやイギリス連邦の唯一無二の共通基盤は、イギリス式民主主義の伝統であろう。

日本から見た時に考えさせられるのは、かつて日本が植民地にしたり「進出」したりしてきた東アジア諸国から日本はいまだに非難され続けているのに対し、数世紀にわたって植民地としてきた旧英領地域が独立したときに、かつての宗主国との関係の継続を求めて相次いでイギリス連邦に加盟を求めてきたという違いだ。このイギリスのしたたかさはもっと見習うべきだ。

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