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2013年7月 3日 (水)

2013年夏に穴があくか

ずいぶん前に書いた「空飛ぶ広報室」の感想がアクセス数1位になっていてちょっとびっくり。ドラマ効果だろうか。このブログでは、ベースの読者数がそれほど多くないらしくちょっとしたキーワードでランキングが大きく変動するのが常だけど。

そんなブログの中でも鉄板で上位を占めるのが自衛隊ネタ。7月1日付で内局に局長級を含む異動が発令されている。

人事発令 7月1日 防衛省発令(内閣承認人事) (防衛省/PDF)
自衛隊主要幹部表

目についたのは元防政局長で現防研所長の高見沢将林と、元運企局長で現装施本部長の松本隆太郎がそろって退職したこと。守屋騒動の余波でしばらく人事がごたごたしていたけど、これで一段落したということになるのかな。

さて7月は制服組も人事の季節である。今年の春の人事は、少なくとも将官レベルでは比較的小幅だったので、この夏の人事は異動が多くなりそうだ。

その中でも注目は陸幕長人事。
東日本大震災で災統合任務部隊の指揮官をつとめ、その実績を買われてか東北方から初めて陸幕長に就任した君塚現陸幕長もほぼ2年となり、交代は近い。陸幕長を降りると退職するか統幕長に上がるかの二択しかないわけだが、現時点で統幕長の目は考えられないので、このまま退職となるだろう。

防大20期の君塚陸幕長が勇退すると、すでに21期生は残っていないので必然的に後継候補は22期相当(1978年幹部候補生)となる。現在該当する陸将は4名を数えるが、陸自研究本部長の中川義章陸将(東大)は候補にならないので、現実的には以下の3名から選ばれることになるだろう。

宮下壽広・西部方面総監(1978年防大22期)
河村仁・中部方面総監(1978年防大22期)
渡部悦和・東部方面総監(1978年東京大)

三十一が密かに注目しているのは、東大出身の渡部東方総監。防大出身ではなく、一般大出身者がこの位置までたどりつくのはけっこう珍しい。しかし現在の陸将の顔ぶれを改めて見てみると、9人の師団長の中に一般大出身者が3人も入っている。

山下裕貴・第3師団長(1979年大分工業大)
田口義則・第9師団長(1981年東京学芸大)
松村五郎・第10師団長(1981年東京大)

最近の人事を見ていると、以前に比べて一般大出身者が目立つようになってきた。これまでのような防衛大出身者偏重と見られかねない人事を、もう少し一般大出身者とのバランスを考えたものにしようとしているのかもしれない。個人的にはいいことだと思っている。

話を陸幕長に戻すと、そういった配慮の最終的な帰結が東大出身・渡部陸将の陸幕長就任ではないかと考えている。実現すれば実に23年ぶりの一般大出身陸幕長となる。ちょっと穴狙い。払い戻しは何もないけど。

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コメント

君塚陸幕長、退任へ 東大卒・渡部氏起用で 調整(産経新聞)

なぜ,こんな記事が新聞に掲載されるのか?
人事は調整して決めるものだが,そのプロセスを通常は開示しない.

今回の記事は防衛省内局のリークによるものだ.

君塚陸幕長が,8月の退任を固辞しているからだ.

君塚氏は来年3月の退任を希望している.

その理由は,陸幕長の職をを現北部方面総監の岩田清文陸将(防大23期)
に譲りたいからである.

慣例によれば2年で陸幕長は交代だが,法的には本人が辞めると言わない限り陸将の定年まで
陸幕長を続けることができる.

3月まで退任時期を延ばせば,防大相当期が22期の渡部東部方面総監ではなく
岩田陸将の陸幕長就任の芽が出てくるからだ.

これを阻止したい内局は,「君塚陸幕長、退任へ 東大卒・渡部氏起用で 調整」という
記事を産経新聞に書かせ,君塚陸幕長に圧力をかけたわけである.

この事態がおもしろいのは次の点にある.

陸幕長の在任期間は今までトラブルがない限り2年であるため,
ここ最近は現在を含め防大の偶数期卒の人間が陸幕長の職に就いている.
前任の火箱氏は防大18期,君塚氏は防大20期,渡部氏は防大相当期が22期というわけだ.
したがって,慣例によれば防大の奇数期卒の方面総監から陸幕長が排出されることはない.
しかし,君塚氏が退任を3月まで伸ばし,君塚氏の希望通り岩田氏が陸幕長に就くと
それ以降の陸幕長は奇数期の防大卒の方面総監から排出されることになる.
この顛末は,直接は,防大24期卒から陸幕長が排出されるかどうかに飛び火する.
すなわち,火箱氏の退任が3月になると,
防大24期卒で次々期陸幕長候補と目されている番匠幸一郎氏の陸幕長就任の線は消えるのである.

8月22日頃に将官の人事が発令されるが,どうなるか目が離せない.

投稿: | 2013年7月10日 (水) 09時49分

君塚陸幕長、退任へ 東大卒・渡部氏起用で 調整(産経新聞)

なぜ,こんな記事が新聞に掲載されるのか?
人事は調整して決めるものだが,そのプロセスを通常は開示しない.

今回の記事は防衛省内局のリークによるものだ.

君塚陸幕長が,8月の退任を固辞しているからだ.

君塚氏は来年3月の退任を希望している.

その理由は,陸幕長の職をを現北部方面総監の岩田清文陸将(防大23期)
に譲りたいからである.

慣例によれば2年で陸幕長は交代だが,法的には本人が辞めると言わない限り陸将の定年まで
陸幕長を続けることができる.

3月まで退任時期を延ばせば,防大相当期が22期の渡部東部方面総監ではなく
岩田陸将の陸幕長就任の芽が出てくるからだ.

これを阻止したい内局は,「君塚陸幕長、退任へ 東大卒・渡部氏起用で 調整」という
記事を産経新聞に書かせ,君塚陸幕長に圧力をかけたわけである.

この事態がおもしろいのは次の点にある.

陸幕長の在任期間は今までトラブルがない限り2年であるため,
ここ最近は現在を含め防大の偶数期卒の人間が陸幕長の職に就いている.
前任の火箱氏は防大18期,君塚氏は防大20期,渡部氏は防大相当期が22期というわけだ.
したがって,慣例によれば防大の奇数期卒の方面総監から陸幕長が排出されることはない.
しかし,君塚氏が退任を3月まで伸ばし,君塚氏の希望通り岩田氏が陸幕長に就くと
それ以降の陸幕長は奇数期の防大卒の方面総監から排出されることになる.
この顛末は,直接は,防大24期卒から陸幕長が排出されるかどうかに飛び火する.
すなわち,君塚氏の退任が3月になると,
防大24期卒で次々期陸幕長候補と目されている番匠幸一郎氏の陸幕長就任の線は消えるのである.

8月22日頃に将官の人事が発令されるが,どうなるか目が離せない.

投稿: | 2013年7月12日 (金) 16時51分

リークの結果が、三方痛み分け?組織社会では、どんな形にせよリークすると、皆に迷惑がかかることになる。

投稿: | 2013年8月 9日 (金) 19時43分

2年後、番匠幸一郎氏は、勇退になった。氏の事は良く知らないが、もし、優れた人材であったなら、期などで未だに古臭い人事をやっているのが、こっけいに思える。

投稿: | 2015年7月30日 (木) 00時05分

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