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2013年11月 7日 (木)

中華原潜

「艦これ」の向こうを張ったわけではないが、ここんとこ現代艦艇(特に日本以外)について改めて勉強している今日この頃。見えてきたのは、全体の傾向として水上艦艇のステルス化、非原子力潜水艦のAIP(無酸素推進)化が進んでいること。今後のトレンドは無人化かな。
国別に見ると、冷戦時に比べてロシアの凋落が著しい。単純に数を減らしているというだけではなく、ソ連崩壊から20年あまり、ほとんど新型艦艇が登場していない。20年以上実質的な進歩が見られないのだ。最近になってようやく新型艦艇の話が出始めてきている。多少なりとも挽回ができるだろうか。
欧州海軍はひとしく規模を縮小している。ただし、ロシアと違って装備を更新しながらの縮小で、内容は一新されている。逆に勢力増強が目立つのは中国、韓国、インドなどのアジア圏だ。この中でまず日本の脅威になり得るのは中国であることは衆目の一致するところ。特に駆逐艦やフリゲイトといった主力水上艦艇は次々と新型を投入している。ロシアから購入した空母がようやく就役したことは大きなニュースとなった。
しかし、現代海戦の真の主役は潜水艦、特に原子力潜水艦である。この点で中国海軍の実力には疑問符がつく。

中国が初めて原潜を建造したのは1970年頃で、それからすでに40年以上の年月が流れている。しかし、現在のところ中国海軍が原潜を実用化できているとは考えられない。40年の間に姿を見せた中国原潜は4タイプ。

1970年 漢型攻撃原潜 (1990年までに5隻)
1981年 夏型ミサイル原潜 (1隻)
2002年 商型攻撃原潜 (2隻)
2004年 晋型ミサイル原潜 (2隻+α)

1990年から2002年までは何をしてたんだと言いたくなるが、たぶん5隻そろった漢型を使ってテストにいそしんでいたんだろう。そこでようやく何らかのメドが見えたのか、新型の商型を2隻建造してみたはいいがやはり問題があったらしく、後続の艦の建造はストップしている。
もうひとつ、ごく最近中国海軍では試験目的と思われる清型ミサイル潜水艦を建造した。注目すべきは、清型は原子力推進ではなく通常のディーゼル推進であること。もともと中国海軍はソ連が設計したゴルフ型ディーゼル推進ミサイル潜水艦を試験目的で保有していたから、その代替であろう。だがなんでわざわざ今になってディーゼル推進のミサイル潜水艦をそのためだけに建造しているのか。中国では潜水艦発射の弾道ミサイルの開発にも難航しているらしく、いまだに実用化にはいたっていないと報じられている。当然まだまだミサイル本体のテストが必要な状況だ。しかし、テスト母体となるべき夏型あるいは晋型ミサイル潜水艦が、ミサイル装備とは違う部分で問題を抱えているのだろう。その問題とは、原子力推進に関する部分に違いない。そうでなければディーゼル推進のミサイル潜水艦なんてものが必要になる理由がない。夏型または晋型がミサイルのテストに使用できるような状況ではないので、ミサイルのテストは清型で別個に行ない、夏型や晋型(それに漢型や商型)は原子力推進のテストに当面専念するということではないだろうか。
もしも原子力潜水艦の運用にメドがついているならば、近年あれだけ精力的に水上戦闘艦を量産している中国海軍が大々的に原子力潜水艦の量産に乗り出さないわけがない。しかし実際には原子力潜水艦の建造状況はこれまで述べてきたとおりの微々たるものでしかない。

なおこの間、中国海軍では通常動力潜水艦も継続して建造している。おそらく戦力としてはこっちが主力になるのだろう。
60年代から80年代にかけては、ロシアのロメオ型のコピーと、その独自改良型である明型をあわせて100隻あまり建造した。これらの潜水艦の一部はいまだに現役ではあるが戦力としてはほとんど意味がない。90年代に入ってロシアからキロ型を合計1ダース輸入したのは、通常型潜水艦の分野でも立ち遅れている現状を打破するための技術サンプルであろう。実はキロ型には二種類(プロジェクト877系とプロジェクト636系)あって、外見的にはほとんど違いがないためNATOコードネームではどちらもキロ型と呼ばれているが、その内容、特に静粛性には格段の違いがあるらしい。中国のキロ型は両タイプが含まれているが、これも含めて最近の潜水艦を静粛性の順番で並べると、まずキロ(636)がもっと静粛で、やや開いて元型、ついで宋型、さらに少し開いてキロ(877)と並ぶらしい(「世界の艦船」中国海軍特集号の記事)。海上自衛隊にとって最も脅威になるのは、プロジェクト636系のキロ型10隻ということになるのだろう。

それはさておき、原子力潜水艦に関して言えば整備が始まってから40年経ってもこの体たらく、ということで中国海軍は脅威にならないと考えるかと言えば、さにあらず。中国共産党の執念深さから考えて、原子力潜水艦と潜水艦発射弾道ミサイルの実用化という目標をあきらめることはないだろう。これまで40年間、進展ははかばかしくないにしても一貫して追い求めてきたその目標を、この先40年でも追い続けるだろう。今後10年以内に一大原潜艦隊を作り上げることができるかと言えば望み薄だが、20年30年後はわからない。そのとき日本(とアメリカ)はそれに対抗できるかな。

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