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2014年5月31日 (土)

「ミッドウェー戦記」


三十一が書いているのは実は本そのものの感想ではなく、本をダシにしてウンチクを垂れ流しているだけじゃないかという気がしている。
だからと言って、改める気もないのだが。

Amazon で酷く低い点数をつけていた人がいたが、確かに入門書ではないけれど、ミッドウェー海戦という大きな流れの中で闘っていた個々人がそれぞれどんなことを感じ、考え、決断したかという観点で見るならば佳作だと思う。
三十一自身、そういう感情が芽生えてきたのはそれなりに年輪を重ねてからなので、ひょっとしたらこの評者はまだ若いのかもしれない。

さてウンチクに移ろう。とりあえずふたつだけ、いずれも下巻からとりあげる。

参謀長草鹿少将が炎上する旗艦赤城を退艦して一時的に長良に移ったとき、退艦時に痛めた足を診察してもらったのだが長良には「歯科専門の軍医しかいなかった。」という記述があるが、これは疑わしい。実際にそれに類するやりとりがあったのかもしれないが「歯科専門の軍医」というのは無いはずだ。現在でも、「歯科専門の医師」というのは(日本では)いない。歯科医師は医師ではないのだ。養成課程も違うし免許も違う。旧海軍では(陸軍でも)「軍医科士官」とは別に「歯科医科士官」というのがあった。しかし歯科医科士官という制度ができたのは陸軍で昭和15年、海軍で昭和16年のことである。ほとんど歴史はないに等しい。こちらの「歯科医」に少し説明があるので参照してみてください。

次のウンチクのネタは、燃えながらもなお走り続ける飛龍を見守っていた駆逐艦風雲の艦長吉田中佐の回想。

「(略)飛龍は四ノットくらいで走っていた。私(風雲)は、五百メートルから千メートルの距離で並行して走っていた。そう、五百メートルの並行ですよ。(略)潰されそうでこわかったですよ。(略)」

四ノットというのは時速7.5キロくらいだろうか。早歩きか小走りくらいだろう。陸の上の感覚では、500メートル離れて時速7.5キロで並行して走っていて「こわい」という感覚になることはまずあり得ないだろう。しかしそれが「こわい」のが船乗りの感覚なのだ。
同じようなことは空に対しても言える。たとえば、「戦闘機が上空何十メートルくらいのところを飛んでいってこわかった」などというニュースが流れることがあるが、素人さんが「何十メートル」と言っていたなら、実際にはその10倍くらい距離があるのが普通である。それくらい人の感覚というのはあてにならない。

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