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2014年5月29日 (木)

「不沈艦伝説」からの VT信管

実はこの本はまだ読み終えていない。というか、多分読み終わらないと思う。
基本的に読み終わらなかった本の感想は書かないのだが、このままだと指摘もできないので異例ながら取り上げる。

以前、同じ著者の本を取り上げたことがあったが、そこで VT 信管についての誤りを指摘した。

ひとつ、これは明らかにおかしいと思ったのは、アメリカ海軍がボフォース40ミリ機関砲の弾頭に近接信管を使用していた、という記述。これはいわゆる VT信管のことだと思うが、40ミリ機関砲に VT信管を使ったとは聞いたことがないし、発射速度の大きい機関砲の弾丸にいちいち近接信管を使うとは考えられない。改めて確認してみたところ、近接信管 を使っていたのは3インチ砲や5インチといった「高角砲」の砲弾で、40ミリ機関砲で使用できるサイズの近接信管が開発されていたという記録は見あたらな い。

しかし、今回の本でも同じ間違いが記載されている。しかも、それほど厚くない本の中で2回も。おそらく、著者の中ではそういうことで確定してしまっているのだろうが、アメリカ海軍のサイトにはちゃんと説明がある。

Radio Proximty (VT) Fuzes (Naval History & Heritage command)

やや分量があるが、"Development of Proximity Fuzes (VT) for Projectiles - VT Fuzes Mks 32 to 60" をまとめると、

- Mk 32 (5インチ38口径砲)
- Mk 33 (英海軍4.5インチ砲)
- Mk 41 (英海軍4インチ砲)
- Mk 45 (3インチ50口径砲)
- Mk 47 (6インチ47口径砲)
- Mk 53 (5インチ38口径砲)
- Mk 56 (英海軍4.5インチ/5.25インチ砲)
- Mk 58 (3インチ50口径砲)
- Mk 59 (5インチ54口径砲)
- Mk 60 (英海軍4インチ/4.7インチ砲)

Mk 45 は量産されなかったが、これ以降の各型の原型の役割を果たした。
見ればわかるとおり開発された信管は 3~6インチ砲弾用のものであり、40mm 機銃弾には用意されていない。

ついでに言うなら、Wikipedia のボフォース機関銃の記事にはこんな記述がある。

After the war, the 3"/50 caliber gun Mark 27 mount began to replace the Bofors, because the "VT" proximity fuse would not fit a 40mm projectile.

「40mm 機銃弾には "VT" 近接信管が使用できないため、ボフォース機関銃は戦後 3インチ 50口径砲で置き換えられた」

さて次の本では直るかな。三十一がこの著者の本をまた読むかどうかわからないが。

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