« 3週間ぶりの | トップページ | 神保さんの町 »

2014年6月19日 (木)

「冬戦争」

戦争の名称は誰が決めるんだろう。
もちろん特定の機関が決めるわけではなく、なんとなく定着していくものだろう。イラク戦争が始まったころ、三十一はマスコミが「イラク戦争」と呼んでいるのに反発していたが今となっては定着してしまってもはや反論する気にもならない。ちなみにアメリカ政府はむしろ作戦名(不朽の自由作戦 Operation Endurance Freedom)のほうを使っているようだ。
「なんとなく」定着していくものなので、必ずしも常に適切な名称が定着するとは限らないし、まぎらわしいものも多い。日本で「太平洋戦争」と言えば 1941年から始まったアメリカとの戦争を示すが、1879年にチリとペルー・ボリビアの間で始まった War of the Pacific も「太平洋戦争」と訳される。まあ日本人で「太平洋戦争」と聞いてまず War of the Pacific を思い浮かべる人はさすがにいないと思うが。相当ひねくれた三十一でも「どっちのことかな」と思うくらいが関の山だ。

「冬戦争 Winter War」にしても、「冬」というこれ以上ないくらい何の変哲もない形容詞だけを冠した名称であり、何らの予備知識なしに「冬戦争」という名前を聞いてそれが「1939年の冬から翌年にかけてソ連とフィンランドの間で戦われた戦争」と想像できる人はいないだろう。一冬期間だけの戦争だから「冬戦争」と呼ばれるようになったんだろうが、そういう戦争がこの戦争だけだったとも思えない。でも定着しちゃったもんの勝ちなのである。

しかし三十一は「冬戦争」が何かは知っていた。書店でこの本を見たときに「おっ」と思ったものである。そして著者名を見て「なるほど」とも思った。この著者は「軍事研究」誌にしばしば寄稿していて、北欧とくにフィンランドにご執心であることは記事を読んでいればよくわかる。そういう著者だから当然フィンランド側からの視点が中心になる。

「冬戦争」について知っていたとは言うものの、ごく大まかな結果くらいしか知らなかったので、細かい戦争の経緯と経過を詳述してくれるのはありがたかった。ただ、まったくと言っていいくらいなじみのないフィンランドの地名がたくさん出てきて、しかも掲載されている地図にも載っていないことがあり、完全な理解をあきらめることもしばしばだった。
あとがきによると著者が構想している「フィンランド軍」シリーズ全12冊の2冊目にあたるそうだが、全シリーズの刊行は無理でも「継続戦争」「ラップランド戦争」くらいは出してほしいなあ。それにしもこの「継続戦争」も特定が難しい名前だなあ。

|

« 3週間ぶりの | トップページ | 神保さんの町 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/196234/59838853

この記事へのトラックバック一覧です: 「冬戦争」:

« 3週間ぶりの | トップページ | 神保さんの町 »