« 神保さんの町 | トップページ | 60年目の「他衛隊」 »

2014年7月 2日 (水)

「第一次世界大戦陸戦史」

今年は第一次大戦が始まって100年。
6月28日には第一次大戦の引き金となったサラエボ事件の記念日ということが報道されていた。しかし実際に第一次大戦がはじまったのは8月に入る頃だ。「8月の砲声」って映画もあったよね。

6月28日にサラエボ事件、すなわちセルビア人のテロリストによってオーストリア=ハンガリー二重帝国の帝位継承者が暗殺されるという事件が起こってからおよそ一ヶ月が経とうとしている7月23日になって唐突にオーストリア政府はセルビアに対して48時間の期限つきで最後通牒をつきつけた。それまで比較的セルビアに対して批判的だった国際世論が、この唐突で強硬な最後通牒によって一気にオーストリアを非難する空気になったと伝えられる。ではオーストリア政府はこの一ヶ月何をしていたのかというと、自らの後ろ盾になるべきドイツと、相手のセルビアの後ろ盾になるべきロシアの動向をさぐっていたのである。
ロシアの動向はともかくとして、ドイツの支持をとりつけたオーストリアはセルビアに対して強硬に出ることにした。このときドイツがオーストリアに安易に保障を与えたことが、第一次大戦を未曾有の世界戦争にしてしまう結果を招くことになる。
7月28日、オーストリアがセルビアに宣戦布告すると、ロシアが対オーストリア戦を予期して総動員を開始する。これに対抗してドイツが総動員を開始した。当時の同盟関係においては、ドイツ=ロシア戦はただちにドイツ=フランス戦を意味した。フランス攻撃に際してベルギーの中立を侵犯したことで、ベルギーに保障を与えていたイギリスもドイツに宣戦布告したのは8月4日である。オーストリアの対セルビア宣戦布告からわずかに一週間で、ヨーロッパの主要国が両陣営にわかれて4年あまり戦い続ける大戦争が始まった。

本のタイトルが「陸戦史」なので海戦や空戦、外交についてあまり記述がないのはしかたがない。しかし、正確を期するならば「ヨーロッパ陸戦史」もしくは「東部・西部戦線陸戦史」とでもしておくべきではなかったか。極東青島戦はもちろん、パレスチナ戦線やアフリカ戦線、イタリア戦線などはほとんど取り上げられていない。

|

« 神保さんの町 | トップページ | 60年目の「他衛隊」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/196234/59913230

この記事へのトラックバック一覧です: 「第一次世界大戦陸戦史」:

« 神保さんの町 | トップページ | 60年目の「他衛隊」 »