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2014年8月11日 (月)

世の中が公平でないことによるメリット

冷戦終了後、軍隊の関心が「非対称戦」に移ったと言われて久しい。

ここ最近国際ニュースを騒がせているガザをめぐる戦闘はどうにか停戦にこぎ着けたものの、この停戦が永続的なものになるかどうかが焦点となっている。

イスラエル軍と、ガザ地区を実効支配しているハマスの間の戦闘は、典型的な非対称戦だ。イスラエル軍の目的はハマスによるイスラエル領土へのロケット弾攻撃を抑止すること。そしてそのために封鎖の実効性を高めること。ハマスは封鎖を無効化してロケット弾攻撃を継続することを目的としている。

この戦闘によってガザ地区の住民に大きな犠牲が出ている。この犠牲をもたらしたのは直接にはイスラエル軍による攻撃だが、ハマス側から考えてみるとこの犠牲にはなんらデメリットがない。むしろ犠牲が出れば出るほどイスラエルに対する国際世論が厳しくなるというメリットが生じるから、ハマスにしてみれば停戦に応じる理由が乏しい。エジプトなどによる仲介がなかなかうまく行かなかったのはそういった事情によってハマスが強気に出ていたということが影響していただろう。

もともと軍隊は正規軍同士の戦闘を想定していた。これが「対称戦」ということになる。しかし現代の「正規軍」の対手はゲリラやテロ組織といった「非対称」軍事組織になった。むしろ「正規軍」同士の正面切っての戦闘のほうが希少だ。こうした非対称戦においては、組織がしっかりしている正規軍のほうが有利だと考えられがちだ。確かに、個別の戦闘シーンにおいてはそうだろう。しかし戦争全体をみたときには、正規の組織であることによる制約によって非正規組織のほうが有利に進めることが多い。正規軍にとってこうした非対称戦は対処に苦慮させられる頭痛のタネなのだ。現在はたまたま米軍が非対称戦の矢面に立っているが、ほとんどの正規軍の共通の課題と言える。それは自衛隊も同じことだ。

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