« 2014年12月 | トップページ | 2015年2月 »

2015年1月22日 (木)

プレイヤーは変わる、コーチはよみがえる

来月2月2日(現地時間1日)にアリゾナで開催される第49回スーパーボウルの組み合わせが Seattle - New England に決まった。

我が Denver はプレイオフの1試合目(シードされて2回戦)で完敗してシーズンを終えた。

先日の記事で5人のヘッドコーチが解雇または辞任したと紹介したが、その後さらに2人のヘッドコーチがチームを離れ、合計7人となった。そのうちの一人はわが Denver の John Fox である。Fox の場合は解雇ではなく合意の辞任ということだが、すぐに Chicago に移ることが決まっていて、もともと Chicago の話があったから辞任したのかなあなどとうがった見方をしてしまう。
まあ去ってしまった者は追っても詮ないことだ。わが Denver の後任ヘッドコーチはと言えば、期待はしていたもののまさかと思っていた Gary Kubiak の復帰である。

Kubiak は Shanahan ヘッドコーチ、QB John Elway によってスーパーボウルを制覇したときの攻撃コーディネーターで、さらにそれ以前は Elway のバックアップ QB を勤めたという黄金期を築いた中心メンバーだ。さらに攻撃コーディネーターとして名前の挙がっている Rick Dennison も当時 Denver でコーチだった。めぐりめぐって20年近く経ってコーチ陣がまるごと世代交代した感がある。
そういや、Kubiak を雇う決断をしたのは GM である John Elway だった。

いっぽう、QB Manning が来年も Denver でプレイするかどうかは不透明だ。シーズン終盤に調子を崩してそのままプレイオフでも本来のパフォーマンスを発揮できずにずるずると負けてしまった。引退するという報道もあるが正式発表はされていないはずだ。本人もまだ決めていないのかもしれない。しかし Manning の去就がチーム作りに大きな影響を及ぼすのは間違いない。

守備コーディネーターの Jack Del Rio は同地区の Oakland のヘッドコーチに移った。今年クビになった Oakland のヘッドコーチ Dennis Allen は 2011年シーズンには我が Denver の守備コーディネーターだった。San Diego の現ヘッドコーチである Mike McCoy はもともと Denver の攻撃コーディネーターである。Denver 出身者が AFC West のヘッドコーチ職を占領しつつある。

スーパーボウルの予想は希望をこめて New England の久しぶりの勝利。Seattle にそうやすやすと連覇されるわけにはいかない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年1月15日 (木)

誰がために新聞は出る

フランスの新聞の風刺について。

現物を見ていないので、報道されているコメントに依存していることをあらかじめ承知の上で読んでほしいのだが、

三十一はこのニュースを聞いていて、これが「風刺」だという表現に違和感を感じた。
表現の自由は尊重されるべきであり、暴力に訴えるのは論外というのは大前提としても、それでもこれが「風刺」だというのならば風刺することによって最終的にはものごとが(風刺する側の主観であったとしても)望ましい方向に向かうことを目指しているのだろう。
それぞれが考える「望ましい方向」が一致しないということは当然にあり得るので、そこで意見がぶつかることは想定の範囲内だ。これもいいだろう。

しかしわからないのは、これがいったい「誰に向けた」風刺なのだろうかということ。
この風刺画によって、「改善」すべきだと訴えかけようとしている対象は誰なのだ? 全世界16億人(Wikipediaによる)のムスリム?

「正当な批判」と「単なるヘイト」の境界はどこにあるか、三十一が考えるのはその対象が「行動」や「言動」なのか、それとも「属性」なのかの違いだろうと思う。
「イスラム教徒だから」「在日だから」「B型だから」「女性だから」などはすべて「属性」でしかない。「属性」と「行動・言動」の間にときに相関があることは否定しないが、それでも「属性そのもの」を問題にするべきではない。

三十一が日本で暮らしていて気になるのは、こうした「属性」にともなう評価が幅を効かしていること。
例えば日本ではほとんどの人間が知っている「血液型性格特性」は欧米ではまったく知られていない。性格は個人のものであり、血液型という属性と関連づけることに意味はないと考えるのだろう。さすがに欧米の個人主義のもとではこうした「属性」にまどわされて十把一絡げで評価することはしないのだな、と考えていた。

考えていたのだが。

今回の件で思い知ったのは、欧米でも個人主義が強いと言われているフランスでさえも、その個人主義は所詮キリスト教の枠内でのみ機能しているのだということ。
そもそも欧米の個人主義は神と1対1で対峙するという教義によるところが多い。神の前では皆ひとりであり、皆平等であるという考えが個人主義の源泉となっている。
「キリスト教徒」と「イスラム教徒」という属性の違いを、キリスト教の個人主義は乗り越えることができなかった。

いっぽうで非キリスト教徒でもともとキリスト教の枠内にいない三十一が個人主義を目指そうとするなら、こうした枠は乗り越えることができるし、乗り越えなければ本当の個人主義にはならない。
とりあえず三十一はすべての宗教に対してフラットに対しようと考えている。個人的には無宗教だが。

# ところで三十一も「属性」に対して感情的な好き嫌いを感じることがあるのは自覚している。それを認めた上で(認めたからこそ)意識して表に出さないようにつとめている。できているかどうかはわからないが。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年1月 7日 (水)

HMAS Soryu

「日豪 潜水艦を共同生産」 (Yahoo!ニュース)

キーワード検索ランキングが急に上がったらしく、何があったのかと思ったら毎日新聞が報じたのが Yahoo! ニュースに転載されたらしい。
だいぶ前から話は出ていたのだが、いよいよ本決まりになって確定報道が出るとあたかも突然話が降って湧いてきたかのように取り上げられる、というパターンにはよく遭遇するなあ。例えば、中国が宇宙遊泳を成功させたときにも同じような現象が起きた。詳しくは以前の記事を読んでくだされ。

話を元に戻すと、今世界を見回してみると、3000トンクラスの大型・非核動力潜水艦を自力で開発生産している国はほとんど無い。米英仏は原潜に特化してしまって、非核動力潜水艦からは撤退した(フランスの企業がスペインで輸出向けの潜水艦を建造している)。潜水艦の輸出国としてまず挙げられるのはドイツだが、ドイツの潜水艦は比較的小型の沿岸警備型が主力だ。そういったラインナップが中小海軍国のニーズに合致してマーケットでの成功を得られたのだが、オーストラリアのニーズに合わない。
実のところ、このクラスの大型潜水艦を手に入れようとするなら、ロシアのキロ級潜水艦くらいしか選択肢がないのが現状だ。いくら冷戦が済んだからといって、オーストラリアがロシアから潜水艦を導入するというのは無理があるだろう。方向は逆になるのだが、フランスがロシアから強襲揚陸艦を受注して、もう完成も間近なのだが最近のウクライナ情勢のあおりを食らって引き渡しが延び延びになっている。取引相手としてはあまり優良顧客とは言えない。

オーストラリア海軍は大戦中から潜水艦の運用を初めているが、これまで一貫してイギリス製の潜水艦を使用してきた。しかしイギリスは非核動力潜水艦の建造をやめてしまった。オーストラリアでは自国海軍艦艇の多くを国内で建造しているが、独自設計になるものはそれほど多くない。現在運用しているコリンズ級潜水艦はスウェーデンのヴェステルヨートラント級を拡大したもので、1990年から2003年にかけて6隻が建造された。この代艦が今模索されている。
現時点で候補に挙がっているのは
・日本の「そうりゅう」
・スペイン(フランス設計)の「スコルペヌ級」拡大型
・ドイツの 214型の拡大型
だが、性能と実績では「そうりゅう」が有利だろう。他のコンペはコストパフォーマンスを前面に押し出してくるに違いない。オーストラリアの想定作戦海域は、インドと向き合うインド洋と、東南アジアの多島海になるだろう。東南アジア多島海はともかく、インド洋を横断して作戦することを想定するならば、それなりのサイズの船体が必要になる。

では仮にオーストラリア海軍が日本の「そうりゅう」を採用したとすると、日本にどういうメリットがあるのか。メーカーたる三菱重工・川崎重工の利益はひとまず置く。アメリカやイギリスが提供できない種類の装備品を提供することで、潜在的な同盟国の防衛能力を高めることは、国際社会に対する貢献という観点では得点となるだろう。冷戦期のような東西陣営の対立という構図は過去のものになったが、共通の価値観と利益をもつ一連の国家群が、相互に安全保障や防衛に貢献し合うことによって総体として防衛力を高めることは、結局は自国の利益にかなう。防衛装備品の共同開発や、能力の高い製品を相互に輸出し合うのは、そのためのひとつの、そして有力な手段だ。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2015年1月 1日 (木)

2014年の打ち上げ

さて、今年も早いもので残りわずか364日と半日を切りました。

例年のごとく、年明け最初の更新は昨年の打ち上げのまとめを。まずは先月の分から。

3日 04.22.04GMT 種子島/H-IIA (はやぶさ 2 他)
5日 12.05GMT    ケープカナベラル/デルタ IV Heavy (Orion)
6日 20.40.07GMT クールー/アリアン 5 (GSAT 16, DirecTV 14)
7日 03.26.04GMT 太原/長征4B (CBERS 4)
10日 19.33.03GMT 酒泉/長征4C (遙感-25)
13日 03.19GMT    バンデンバーグ/アトラス 5 (NROL-35)
15日 00.16GMT    バイコヌール/プロトン M (Yamal 401)
18日 18.37GMT    クールー/ソユーズ2.1b (O3b x4)
19日 04.43.33GMT バイコヌール/ストレラ (Kondor E1)
23日 05.57.25GMT プレセツク/アンガラ (テスト機)
25日 03.01GMT    プレセツク/ソユーズ2.1b (Lotos S)
26日 18.55.50GMT バイコヌール/ソユーズ2.1b (Resurs P2)
27日 03.22.04GMT 太原/長征4B (遙感-26)
27日 21.37.49GMT バイコヌール/プロトンM (ASTRA 2G)
31日 01.02.04GMT 西昌/長征3A (風雲 2-08)

先月は15件とかなり多い。
ロシア6、中国4、アメリカ2、ヨーロッパ2、日本1、ということだが、使用ロケットの観点で見るとロシア7、ヨーロッパ1となる(仏領ギニアから打ち上げられたソユーズ)。だんだん国別の分類が面倒になる。

注目は、アンガラロケットの初めての軌道打ち上げ。7月に軌道に乗らないレベルの打ち上げテストが成功していたが、ついに軌道への打ち上げが成功した。
今回打ち上げに成功したアンガラA5は、RD-191エンジンを1基積んだ URM-1 (Universal Rocket Module) を5本束にした構成を1段目としている。考え方としては、アメリカの Delta IV ロケットの RS-68 エンジンを搭載した CBC (Common Booster Core) を連想させるが、さらにさかのぼると RD-107/108 シリーズを1段目とブースターに共通して採用したソユーズ系ロケットに行き着く。なお、アメリカの Atlas V では CCB (Common Core Booster) としてロシア製の RD-180 を使ったブースターを使用しているが、これを束ねた Atlas V Heavy の計画はキャンセルされ、これまでのところ常に単独で使用されていてモジュール化によって容易にスケールアップできるというメリットを生かしていない。
旧ソ連崩壊後、ロシアでは不要になったICBMを使って安価に衛星を打ち上げるというビジネスが展開されるようになったが、余剰のICBMもいずれは底をつくし、もともと軌道打ち上げ用に開発されたものではないので能力も高くないし運用面でもいろいろ問題があったらしい。こうした需要を置き換えることを狙って開発されたものなので、それほど大きな能力は求められていないが、パワフルな RD-191 の恩恵をうけて単発の 1.2pp でも地球低軌道に 3.8 トン、5本がけの A5 では地球低軌道に 24.5 トン、静止トランスファー軌道に 5.4 トンの打ち上げ能力があるとされている。能力的にはソユーズはおろかプロトンでさえも代替できるだけのキャパシティがあるので、テストがうまくいけばロシアの打ち上げ業界に大きな影響があるだろう。であるからこそ、20年以上もかけてしぶとく開発をつづけてきたわけだが。

もうひとつ、ここには載せていないが 18日にインドが GSLV Mk.3 の打ち上げテストを行なった(弾道飛行)。これまでの GSLV に比べると上段が強化されている。軌道への打ち上げは2016/17年を予定している。

ああ、そういえば「はやぶさ2」も「オリオン」も先月でした。

Orbital Launch Chronology

では昨年の打ち上げのまとめを。
全体で92件(うち失敗2、有人3)。これは 1994年に94件を記録して以来の多さで、20年ぶりの90件台となる。最後に100件を越えたのは1990年の121件。1970年代から80年代には毎年120-130件前後の打ち上げがコンスタントに行われていたが、90年代以降はどんどん減って、2005年には53件まで減っていた。それからやや上昇に転じ、2012年は76、2013年は81、そして昨年は92と来ている。
原因を考察する前に、まず昨年の打ち上げの傾向を見てみよう。

国別。

1. ロシア (37、有人 3、失敗 1)
2. アメリカ (23、失敗 1)
3. 中国 (16)
4. ヨーロッパ (7)
5. 日本 (4)
5. インド (4)
7. イスラエル (1)

ロシアは不動の1位だが、アメリカが2位に返り咲いた。アメリカの打ち上げ数が増えている要因は、ロケットシリーズ別の打ち上げ数を見るとわかる。

1. ソユーズ (22、有人 3)
2. 長征 (15)
3. アトラス (9)
4. プロトン (8、失敗 1)
5. アリアン (6)
5. ファルコン (6)
7. デルタ (5)
8. H-II (4)
8. SLV (4)
10. アンタレス (3、失敗 1)
11. ドニエプル (2)
11. ロコット (2)
13. アンガラ (1)
13. 快舟 (1)
13. シャビット (1)
13. ストレラ (1)
13. ヴェガ (1)
13. ゼニット (1)

アトラス、デルタといったなじみ深いロケットによる打ち上げは合計で14件で、これだけだと中国の16件に届かない。アメリカの打ち上げ数を押し上げているのはCOTSのファルコン、アンタレス(10月に派手な爆発を起こして話題になったが)だ。

他に気になったのは、日本の H-II が年4回の打ち上げと多いこと(2006年以来)。それから、ゼニットの打ち上げがわずか1件であること。Sea Launch / Land Launch のビジネスが低調なのは気にかかる。

昨年のロケットに関するニュースで今年以降に影響しそうなのはロシア製ロケットエンジンの供給問題。ウクライナ情勢をめぐって米ロの関係がぎくしゃくする中、5月にロシア政府は「ロシア製エンジンによるアメリカの軍事衛星打ち上げを禁止する」と発表した。
アメリカの政府調達衛星(その多くは軍事衛星)の多くはアトラスで打ち上げられているわけだが、アトラス V はロシア製の RD-180 エンジンを使用している。実際には、まだしばらく在庫があるのですぐに影響することはなさそうだが、アメリカでは RD-180 にかわる新しいエンジンの開発を模索しているようだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2014年12月 | トップページ | 2015年2月 »