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2015年8月13日 (木)

UH-X

陸自の次期汎用ヘリ UH-X の開発に富士重工と米ベルの提案が選定された。
現用 UH-1 の発達型(双発化、4枚ブレード化など)であるベル412を原型にするというものだ。コンペである川崎重工はエアバスヘリコプターと組んで新規開発を提案した。陸自の評価は性能面では川重側に高得点をつけたが、開発期間、価格、ライフサイクルコスト、部品調達などの点で富士重側を評価して最終的に軍配を上げた。
当初、UH-X には川重が選定されていたのだが、官製談合騒ぎがあって白紙撤回されていた。その後要求が変わって国内生産が前提として付け加えられ、改めて提案を求めていたのが今回の選定になる。

実のところ、富士重の航空機部門、特に回転翼機部門はこのところ苦杯を舐め続けてきていた。OH-X では川重に破れ、AH-64 の受注を勝ち取ったものの途中で調達を打ち切られて初期投資が回収できなくなり防衛省と裁判沙汰に及ぶ始末。もう一社の回転翼機メーカーである三菱は海自 SH-60 や空自 UH-60 を納入しており、海自の次期対潜ヘリも確実と言われている。このまま推移すれば現在の三社体制が二社体制になりかねない、という危機感が富士重側と防衛省側の両方にあったのかもしれない。

そうした思惑はともかく、今回の選定の特徴は性能よりも価格や調達容易性を重視したことにある。高性能機種大好きな自衛隊にしては珍しい。
もっとも、陸自はもともと海や空ほどひどいカタログデータ至上主義というわけではない。近頃AAVやオスプレイといった高い買い物が続いたので、予算圧縮という圧力が働いたのかもしれない。しかし考えてみるとAAVもオスプレイも米軍ですでに実績がありまったく未知数な装備ではない。評価の定まった装備を揃えるというのはさすがに「用意周到」な陸自らしいとも言える。

陸自が使用する汎用ヘリは部隊や装備の輸送、負傷者の後送、連絡や偵察(連絡や偵察には OH-1 もあるが)と文字通り幅広く使用されるワークホースだ。カタログスペックのわずかな違いよりも、求められるのはまず数、そして信頼性と稼働率。取り扱いやすさなども大きな要素になるだろう。いったん計画が白紙になったおかげでそれほど時間に余裕はない。現用 UH-1 の減勢はすでに始まっている。開発に不確定要素が少なく、開発期間の短くてすむ既存機改修という提案が選定されたのは妥当だろう。

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