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2015年10月20日 (火)

きゅうてんにどしー

ホテルをでたら土砂降りだった。
駅前のホテルではあるものの、函館駅は駅前広場そのものが広く、なかなか駅舎にたどりつかない。できるだけ傘を開かないようにしようと思っていたのだが、仕方なく使う。午後からは晴れると聞いているので、これから乗る列車を降りるまでに乾いてくれるといいなあ。

函館駅は、高松駅や門司港駅と同じように頭端式のホームになっている。共通点はいずれも連絡船との接続駅だった歴史を持っていることだ。自由席を求めて後尾から先頭方向にむかって歩き出す。3号車、「自由席」と表示されてるけど、これグリーン車だよね。ちょうど駅員がいたので「自由席は」と聞いてみると「先頭の6号車と7号車です」との返答。「でもこれ『自由席』になってるけど」と指摘すると「確認します」と言ってバタバタし始めた。一瞬どうしようかと思ったけど付き合ってる暇はないので説明が正しいんだろうと踏んで先頭車両へ。希望通りの席を確保して発車を待っていると車掌のアナウンスが流れ始めた。「一時テロップが間違っていてご迷惑をおかけしました」とか言ってるよ。結果として問題なかったのでそれはいいんだが、あれは「テロップ」と呼ぶのかなあ。

函館を定時に発車し、まずは隣の五稜郭に停車。ここから先は非電化区間、のはずなのだが北海道新幹線の開通にあわせて渡島大野(予定駅名「新函館北斗」)まで電化工事中。架線柱の建植どころかすでに架線も張られていて電化区間の様相だ。風情がないなあと思いつつも、こうした施策で会社の収益構造が強化されて結果として非電化区間の存続につながるのならよしとせざるを得ない。非電化単線鉄道愛好会会長としては痛し痒しというところか。五稜郭の先には機関車がたむろしている。EH800が群れをなしていて、ここもすでに新幹線のための準備万端だ。

未来の新函館北斗駅(現・渡島大野)がいまどんな様子になっているか見てみようと思っていたのだが、そのひとつ手前の七飯駅から通称藤城線に入ってしまった。そういやそうだ、下り特急なんだから渡島大野は通らない。わかってたはずなのに忘れていた。藤城線は引きつづき非電化になるので今回の旅行で初めて架線の下から抜け出ることができた。しかし新幹線が開通すると、この区間を走る全ての特急列車が新函館北斗を経由することになって、藤城線は通らなくなるだろう。じゃあ藤城線を走る列車が残るんだろうか、と一瞬考えて「ああ貨物の下りだ」と解答にたどり着いた。というわけで今後も藤城線は安泰。ただ旅客列車が通らなくなるので時刻表からは消えるかもしれない。
大沼付近は紅葉。長万部からは室蘭本線に入る。車内の電光掲示板に「レールに亀裂、室蘭線で遅れ」と流れていたが今乗っているこの列車は定時で走っている。どこが現場なんだろうと注意していたが気づかなかった。あとでニュースを調べてみたところ、礼文駅付近でレールに亀裂があって軌道回路が切れていたらしい。

洞爺駅で団体客が大挙して乗り込んできた。ホームに並んでいるのを見て団体のわりには意外に若そうな面々が交じっていたので「さては」と思っていたら案の定中国人観光客だったらしい。空いていた隣の席にも中国人の(三十一よりは)若い男性が座った。三十一自身は経験がないが、かつて高度成長期に日本人が欧米にツアーで繰り出しているのを苦々しく見ていた現地の人々はこんな気分だったのかなと思った。人の振り見てわが振り直せというところだが、順番的にもう手遅れだ。南千歳で降りて千歳空港に向かうのではないかという期待をしていたのだが、結局降りずに終点の札幌まで行く気配。いっぽうで三十一は新札幌で列車を乗り捨てる。混んだ車内をかき分けるようにしてホームに転げ出る。

売店で昼食を買ってまた別の特急に乗る。空いてるなあ。さっきのが混みすぎてたのか。
終起点の札幌まで行かずに新札幌で乗り換えたのは、札幌まで行ってしまうと乗り換え時間が4分しかなく荷物を抱えた状態では難しいと判断したため。実際、これまで乗ってきた列車は2分遅れて新札幌に着いていた。乗り換える列車は定時に来たので、札幌も定時に出ていたのだろう。こうなると2分しか余裕がなく、もし違うホームだった場合には絶対に間に合わなかったろう。この列車を札幌で乗りつぐ人は普通いないだろうから定時に発車したからと言って責められないけどね。普通は南千歳で乗り換えるのだが、それだと1時間待ちになる。その間に北海道内のJR線で唯一未乗車の新千歳空港線を往復するというのも考えたけど、ほぼ全区間が地下になるので意欲がわかない。食事をするにしても店があるのかどうかもわからない。だったら新札幌で20分の待ち合わせというのが適当だろうと考えたのだが、結果として正解だった。

列車は南千歳から石勝線に入る。やがて右手から立派な複線の室蘭本線が近寄って来て、石勝線が室蘭本線に寄り添う形になる。普段ほとんど列車が走っていない室蘭本線が複線で、帯広・釧路方面への特急や貨物列車が行き交う石勝線が単線なのは、歴史的な経緯があることだが興味深い。実は苫小牧から室蘭本線で追分にショートカットする、というのを考えたのだが室蘭本線に適当な列車がなくあきらめた。ところが今乗っている列車は追分駅を通過して旧夕張線に入ってしまった。最初から無理な計画でした。

石勝線で数少ない駅や信号場を数えながら車窓を眺めるのは楽しい時間だが、トンネルも多くその間についつい意識を失って気づいたときには今どのあたりを走っているのかわからなくなる。しかしたまたま気づいたときに走っていた信号場で「あ、これ狩勝だ」と思った。どうしてそう思ったのかは自分でもわからない。でもそれは間違いではなく列車はあからさまに下りにかかり、景色もこれまでの山の中と違って開けてきた。空にも晴れ間が見えるようになり、綺麗な虹が現れた。明るい日の下で見る十勝平野は実に美しい。外国から来る観光客もこういう景色を見にくればいいのに。三十一がいないときにお願いします。

帯広で乗客は半分くらいになる。札内川、十勝川と続けて渡る。これまで三十一が十勝川を渡るたびに川原で牛が放牧されているのを見たのだが、今回は見かけないなあと思ったらいたよ、うずくまってた。線路は十勝川の左岸側(東側)の河岸段丘上を走っていく。大きな地図で見ているとそうは見えないが意外に起伏が多い。厚内から先では太平洋に沿って走るのだが、波打ち際を走るかと思えば海岸線から離れて少し内陸に入って小さな峠を超えたりと蛇行しながら進む。海岸線沿いを行けばずっと平らで直線的に走れるのに、と考えるのは本土の発想で、このあたりで平らな(平らに見える)土地はほぼ湿地帯だと考えるべきであろう。少しでも堅い地盤を探した結果が今の蛇行した路線なのだ。

草っ原の真ん中に錆び付いたタンクが建っている、と思ったらその脇に完全に倒壊した建物があった。枯れかけた草の間から屋根がのぞいていた。かつてこの土地を懸命に開拓した先人があったことを示しているのだがその努力もむなしく再び放棄されている。またしばらく行くと馬が草を食べていた。北海道で列車の窓から牛が見えるのは珍しくないが、意外に馬は見かけない。日高本線沿線でなければ、確実に見かけるのは室蘭本線の社台くらいなのだが、ここでも見られるとは知らなかった。

今日の日程を決めるとき、これまで釧路には何度も来ているのでもういいんじゃないかとも思ったのだが、実際に乗ってみるとやはり楽しい。何が楽しいのかは説明が難しいけれど。計画するときには飽きてしまっているのに、いざ実行してみるとちっとも飽きないというのはどういう心理なのだろう。要するに「好き」ということかな。だがさすがに写真は撮らなかった。

4時、釧路着。ホテルにチェックインして食事をするために外へ。しかし知ってはいたのだが釧路駅付近では食事をするところがない。釧路は好きだがこれだけが毎回困るのだ。幣舞橋近くまで歩いてオムライスなど食らってまた歩いて戻る。通りの上に気温が表示されていたのだが、9.2度でした。
天気予報によると明日朝の最低気温は2度だそうである。コートがほしい。

函館(0813)→新札幌(1139+2=1141) 5003D
新札幌(1200)→釧路(1600) 4005D

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