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2017年9月27日 (水)

若狭ゆえ、悩み。

昨夜なぜわざわざ敦賀まで来て宿泊したのか、今から種明かしをします。
去年だったか「律令制国でまだ踏破していない国」を挙げたことがあったのを覚えている人はいるだろうか。実はそのとき「若狭国」が漏れていた。あとになって気づいたのだが、敦賀は福井県のうち嶺南と呼ばれる地方には含まれるが国名でいうと越前になるのだそうだ。若狭だとばかり思っていたよ。というわけで今朝の時点で、まだ足を踏みいれたことのない「律令制国」(島を除く)は「若狭」「志摩」それから多分踏破済みだけど証拠のない「和泉」の3つ。特に「若狭」は今言ったような事情もあってずっともやもやしていたのだが、今回使うことになった北陸フリーきっぷのフリー区間には小浜まで含まれていることに気づき、せっかくなので若狭国に足を踏みいれることにした。
しかし若狭は当初の目的とは違ういわばおまけ。あまり時間をかけるわけにもいかない。その一方で、フリー区間に含まれる小浜まで行って戻ってきてしまうと、「若狭国踏破」という目標は達成できるものの小浜より西の小浜線区間が未乗車のまま残ってしまう。時間を節約するか、この機会に全線乗車してしまうか、葛藤したあげくの解決策が始発で終点の東舞鶴まで往復するという強行軍になった。そのために敦賀に前泊することにしたのだ。
朝6時前に目覚ましで起床。そのつもりがなくても目が覚めてしまうということは近頃よくあるが、意図的に早く起きるというのはこうした旅行のときくらいしかしない。小浜線の電車は125系の直流電車。いまは敦賀駅構内全体が直流になっているが、かつては北陸本線側は交流で、あとから小浜線が直流電化されて敦賀駅には直流と交流が混在していた時期があった。
小浜線の列車はいまはまだ空いているが、やがて高校生の通学列車になって混雑するのだろう。それは覚悟するしかない。荷物の大半は敦賀駅のコインロッカーに置いてきた。敦賀駅を発車した列車は北陸本線とわかれ、敦賀市街地の南のはじっこ、山地と平地の境界付近をぐるりとまわってから西に向かう。この先、リアス式海岸の若狭湾にほぼ沿うかたちで走るので、海にまで達する尾根筋とその間に挟まれた小平野が交代であらわれるという、言ってしまえば代わり映えのない風景が続く。粟野を出て少し走るとそうした尾根筋の最初のひとつを越えていく。実はここが敦賀市と美浜町の境界、つまり旧越前と旧若狭の国境で三十一はついに若狭国に足を踏みいれた。若狭湾沿いを走るとはいえ、車窓から海はほとんど見えない。目の前には田圃が広がり、その向こうには山が重なる。海はさらにその向こうだ。田圃を海に見立ててみると典型的なリアス式海岸の風景に見える。つまりリアス式海岸が隆起したか干拓したかして陸地化されたのが目の前の風景だろう。そのうちブラタモリで取り上げられたりしないだろうか。
三方を過ぎたあたりから高校生が増え始め、一挙に増えたのは大鳥羽だ。小浜市街地にある高校に向かうのだろう。東小浜駅でまとまった人数が降りて行くのと入れ違いにまた少し乗り込んでくる。一斉に下車したのが小浜で、車内はたちまち静かになった。小浜を出て少ししたとき、立派な墓石が見えて「酒井」と読めたのだが、まさか藩主の墓じゃないよね。酒井家は若狭小浜藩の藩主だ。加斗を過ぎたあたりから海が見えてくる。若狭本郷、若狭和田、若狭高浜と海に沿って走るがこの先はまた峠を越えて京都府に入り、終点東舞鶴に到着。東舞鶴にはほぼ10年前に来て以来だ。できれば港まで足を伸ばしてみたかったのだが、今日はそのまま折り返す。あ、もちろん小浜-東舞鶴間はちゃんと別途運賃を払いましたですよ。
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写真は高架の東舞鶴駅に停車する小浜線の列車。

いったん敦賀までまた戻って来ると昼前。今夜の宿泊は富山県の高岡だが、いったん福井まで特急で戻る。午後の予定ははっきり決めていなかったのだが、福井県のJRは全線踏破したので、この際私鉄も含めて全部乗車してしまおう。そうすればもう二度と来なくてもよくなる。いやまあ、新しい路線が開通したりしたらきっとまた来ることになるんだろうけど。とりあえず決まっているのは北陸新幹線の福井延伸。
それはともかく、福井県内の全ての鉄道路線で未乗車なのはもはや2路線のみ。福井鉄道の一部、市役所前-田原町と、えちぜん鉄道の半分、芦原三国線の全線。福井鉄道とえちぜん鉄道芦原三国線は田原町で接続しており、直通運転もしている。往復であわせて踏破するには都合がいいのだ。実はこれが昨日えちぜん鉄道の永平寺勝山線を優先して乗車した理由なのだが、よくよく考えてみれば勝山線を先にする理由にはなっていなかった。しかしそのとき必要だったのは正しい決断をすることではなくてとにかく決断することだったから、別に問題はない。
さて今日も決断しなければならない。田原町まで行く経路はふたつ。駅前の電停から福井鉄道で終点の田原町まで向かうか、あるいは越前鉄道三国線の電車で田原町を経由するか。往復で経路を変えれば両方を踏破できるので、決めなくてはいけないのはどちらを往路にしてどちらを復路にするかだけ。今日の決断にもっとも大きな要素となったのは天気だ。いまはまだ曇り空だが午後から雨が降り出すという予報。田原町での乗り換えでどのくらい歩く必要があるのかまだわからないが、路面電車である福井鉄道からえちぜん鉄道への乗り換えを雨が降らないうちに済ませてしまったほうがいいだろう、という判断から先に福井鉄道に乗ろうと決め、駅前ロータリーの一画にある電停に向かう。時刻表より少し遅れてやってきた電車は5分ほど遅れて発車。さらに駅前支線から本線に合流するところの交差点でかなり待たされる。そのあとは比較的スムーズに走ったが、わずか3つの電停しかない区間で7分の遅れ。それでも田原町駅での乗り継ぎには充分間に合った。
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田原町駅のえちぜん鉄道側のホームから見た福井鉄道の電車。
やがてやって来たのは昨日と同じ単行の電車だが、この車番は昨日と同じでは? 2日かけて二往復して乗る車両はひとつだけ、ってことになるなあ。もう少しバリエーションが欲しかった。しかし今さらそんな繰り言を言っても仕方ない。電車はそこそこ混んでいるが、空席がないというほどでもない。クロスシートの窓際を見つけて着席。次の福大前西福井駅はデパートと一体化した駅らしいが、ちょうどカーブの途中にあってここから線路はほぼ真北を向く。ここからしばらくは市街地や工場地をいくが、九頭竜川を渡ると景色が一変して田園地帯に入る。しかしほぼ北に向かって走ることは変わらない。鷲塚針原駅は福井鉄道からの直通電車が折り返す駅で、そのための折り返しホームが設置されている。
福井県の特に嶺南と呼ばれる地域を除いた部分の地形には大きな特徴があって、海岸線がほぼ山塊で占められていて海岸線からそのまま平野につながるという地形がほとんどない。唯一の例外が三国付近で、九頭竜川とえちぜん鉄道三国線と、かつての国鉄三国線はみなここを目指している。かなりの面積を持つ福井平野にとって海への出口は三国港しかない。今乗っている電車も海に向かっているはずなのだが、このまままっすぐ北に向かうと山地にぶつかってしまう。その突き当たったところで西に曲がると三国に向かえるわけだが、そのちょうど曲がったところに芦原温泉がある。しかし福井駅から30分以上かけてえちぜん鉄道で温泉に向かうのはあまり便利ではないようで、いかにもという温泉客は乗客の中に見当たらなかった。鉄道を利用する場合の主流はJRの芦原温泉駅からバス、あるいは旅館やホテルの送迎車ということらしい。三国の街に入って、三国神社、三国と乗客が降りていき、終点の三国港で電車を降りたのは三十一を含めて3名のみ。アテンダントが東尋坊行きのバスを案内していたけど、利用者はいたんだろうか。三国港駅には平日の朝だけ職員が派遣されるらしく、いまの時間帯は無人。
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三国港駅では小雨が降り始めていた。傘が必要なほどではなかったがこれから天気が悪くなる前触れだと思うとどうしても気になる。今日これ以降、あるいは明日の日程にも影響するかもしれない。
三国港からそのまま同じ車両で折り返すのは三十一だけか、とも思ったが発車間際に外国人らしい二人組の男女が乗り込んできた。この乗客3人で三国港を発車。ちなみに乗員は運転士とアテンダントの2人。アテンダントは乗客の案内、乗車券の発行と運賃の収受、案内放送などを実施しているがドアの開閉操作は運転士が行なっている。逆にいうと特に資格が必要ない範囲の業務をアテンダントが担当しているということだな。三国港から福井に向かっているあいだに少し雨が強くなってきたようだ。田原町から先は福井県内最後に残った未乗車区間。築堤を駆け上って北陸本線をオーバークロスし、右手に車両基地を見下ろしながら築堤をおりて勝山線と合流すると福井口。これで福井県内の鉄道全路線を踏破したが電車はあと二駅、福井まで行く。福井口はいったん地平に降りるがその先の区間は高架に上がる。途中、新福井は高架上に相対式ホームを持つ駅だが、駅自体は仮設なので立派な高架橋の上に構内踏切が設けられている。高架駅で構内踏切が設置されている駅って他にないんじゃないかなあ、と思ったが四国のJR牟岐線と阿佐海岸鉄道の接続駅である海部駅がそうだったことを思い出した。

福井駅から特急に乗っていったん金沢へ。まだ少し時間があるので北陸鉄道にでも乗ってみようかとも思ったが、天気も思わしくないのでここで少し早い夕食をとってから今夜の宿泊地である高岡に向かうことにする。

今日の旅程:
敦賀 (0629) → 東舞鶴 (0822) 924M
東舞鶴 (0855) → 敦賀 (1103) 929M
敦賀 (1125) → 福井 (1159+2=1201) 5M
福井駅 (1223+5=1228) → 田原町 (1233+7=1240) 福井鉄道
田原町 (1248) → 三国港 (1328) 29レ
三国港 (1339) → 福井 (1431) 42レ
福井 (1438) → 金沢 (1526) 4023M
金沢 (1643) → 高岡 (1722) 453M

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