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2017年10月 5日 (木)

イルカにのった中年

昨日は天気だったけど今日は曇り空。昨夜は風も強かったようだ。

今日は昨日とは反対に、紀伊半島の西側をまわって大阪に出る。昨日とあわせて紀伊半島をぐるりと時計回りに一周するわけだ。
きっぷはすでに昨日の夕方、新宮駅で海側の指定席を確保してある。始発の次、朝8時半に出る新大阪行きの特急だ。この列車を選んだのは、時間帯がちょうどよかったというのもあるがそれよりも使用車両が283系電車、つまりオーシャンアローであるということが大きい。この区間の特急「くろしお」からはすでに381系が引退し、287系と289系の投入が始まっている。そう遠くない将来、283系は姿を消す。283系は「くろしお」専用に開発された車両で他への転用は難しくこのまま廃車される可能性が高い。ここで乗っておかないと次に乗車する機会はないかもしれない。

新宮駅前には南国らしい植物が植えられているがなにせどんよりとした空模様であまりそれっぽくは見えない。
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これから乗車するオーシャンアローくろしおは6両編制だが、3両編制を2本つなげたもの。新大阪方の先頭車両は非貫通型のイルカのような形状。昔なにかのマンガで「イルカくん」って読んでたけどもちろん公認されたものではない。
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新宮を出るといったん列車は潮岬のほうへ向けて南下する。新宮駅自体はやや海岸から離れた場所に位置するが、熊野川の南岸のこのあたりも七里御浜の続きのような砂浜になっている。しかし線路が海岸線に出たかと思うと砂浜は姿を消し、再びリアス式海岸が現れる。ただし、昨日の伊勢紀伊国境付近の険しい海岸線に比べると起伏は多少ゆるやかでややスケールダウンしたような地形だ。それからこの区間の開通は大正のはじめ頃。その後経路変更などがあったがそれも戦前のことだ。なので、昨日は駅と駅のあいだをまっすぐ直線で結び、山があればトンネルを掘って済ませていた。だから駅間はほとんどトンネルになってしまっていたのだが、いま走っているあたりでは海岸線を回り込んでみたり、あるいはその逆に少し内陸に入って鞍部を乗り越えてみたりとできるだけトンネルを作らない線形がとられている。その結果、細かいカーブが多くなって、だから振り子車両が投入される動機となったのだ。もっとも先に書いた通り381系はすでに撤退、283系も近いうちに引退が見込まれ、後継を勤めるのはいずれも振り子車両ではない287系と289系だ。一時期はいろんな路線で振り子車両が次々投入されてきたが、最近は以前ほど振り子車両の効果に期待しない傾向があるようだ。それもJRグループ内の各会社によって温度差があるようではあるが。
紀伊勝浦から多少旅客が増えてきた。このあたりのローカル列車に使用されているのは105系電車で、これもそう遠くない時期に引退することが確定している。何度か車内から見かけはしたのだが、写真はついに間に合わなかった。やがて太地。クジラ漁で有名なところだが駅は海から少し離れた高台にあり、周囲は寂しい。橋杭岩を見ながらさらに南下すると、本州最南端の駅である串本。昨日書いたとおり串本にはかつて車で来たことがあり、夕食の買い物で駅前付近も走った。その時にも思ったのだが、串本駅のすぐ裏は山。その山裾をまわりこむように線路が走る。
実はこのあたり、ほぼ同じような景色が続いて少しダレてきた。白浜を過ぎ、次の紀伊田辺から複線になる。御坊駅からは紀州鉄道線が出ているはずだが、駅らしきものがみあたらない。駅を出てすぐ、左側に非電化の線路が並行しているのに気づく。やがてその線路はカーブを描いて離れていく。これが紀州鉄道線なのだな。いい加減尻が痛くなってきたころに和歌山。これまで通ってきた街々と比べると格段の大都市だ。ビジネス客や、大阪への買い物客と思しき乗客が急に増えてきた。いま三十一が乗っている指定席もそこそこ混んできた。実質ひと駅ふた駅のはずなのだが、それでも指定券を買って特急に乗るんだなあ。和歌山駅を出ると紀勢線と別れて阪和線に入る。左に紀勢本線の末端部がわかれていく。右側では和歌山線が分岐しているはずだが三十一の座っている席からは見えない。紀ノ川を渡ると、大きく右にカーブし和歌山県と大阪府の府県境をなす和泉山地にそって高度をあげていく。右下に紀ノ川沿いの平地が見える風景は、四国の土讃線が讃岐山地を越えて吉野川河谷におりていくときの風景を思い起こさせた。ピークを越えると大阪府。このあたりは山中渓越えと呼ばれるかつての難所だ。一気に和泉平野に駈け降りる。

今回の旅行では、名古屋から大阪まで紀伊半島をぐるりと回ることに終始した。その間どこにも寄り道していない。寄り道に値する路線がないわけではない。三重県側では参宮線や名松線、関西線の山間部といったJRの非電化路線があり、近鉄賢島線や三岐鉄道・養老鉄道・伊賀鉄道・四日市あすなろう鉄道など興味深いローカル私鉄が多い。和歌山県側では御坊から分岐する紀州鉄道、和歌山付近では紀勢線の末端部、JR和歌山線、和歌山電鉄、南海の高野線や加太線など。特に今回、紀州鉄道をどうするかは最後まで迷ったものだが最終的には断念した。
ではなぜどこにも寄り道をしなかったのか。今回、日程を考えていて思いついたのは、これだけ懐の深い紀伊半島周回という目的と、周辺の中小路線の踏破という目的の両方をいっぺんに済ませようとしてきたことが逆に日程作成を難しくさせ、結局着手に至らずに紀伊半島周辺を空白地帯のまま残してしまうことになったのではないかということだ。二兎を追う者は一兎をも得ず、を地で行くようなものだ。この際、限られた日程でどちらかひとつの目的に専念しよう、具体的には紀伊半島一周だけを確実にやり遂げよう、そうすれば今後例えば三重県の路線をまわるときには多気以南には足を伸ばす必要がなくなるし、すでに乗車済みの区間を利用する場合は夜にかかってもかまわない。大幅に自由度が高くなるのだ。今回はそのための布石でもある。
ついでに言うと、今回紀伊半島を一周するにあたって最後の最後で阪和線を経由することになった。つまり和泉国に足を踏みいれることになる。先日の若狭とあわせてこれで残るは志摩国だけだ。今回、少し寄り道すれば志摩国にも行けたはずだが、まあいい、今後まだ機会があるだろう。

あべのハルカスに見下ろされながら天王寺着。ここから大阪環状線、梅田貨物線を経て新大阪に向かう。そうそう、この梅田貨物線も今回の旅程のポイントのひとつ。「くろしお」か「はるか」でないとこの路線は通れない。関西空港には当面用事はない。福島駅を出ると地上におり、右手に大阪駅の斜めの屋根と丸みを帯びた阪急ビル、左手に梅田スカイビルが見える。淀川を渡ると右手にはおおさか東線の工事が進んでいる。すぐに新大阪着。新幹線に乗り換えて帰京。

今日の旅程:
新宮 (0838) → 新大阪 (1250) 64M
新大阪 (1303) → 東京 (1533) 22A

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