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2019年4月14日 (日)

長良といえば軽巡洋艦

さて今週は岐阜県。
今回の計画時に最初に目標としたのは明智鉄道だった。中央西線から分岐する明智鉄道はそれほど長くないが東京からたどり着くのはわりと面倒だ。本数も多くないしそれなりにしっかりと計画していかないと痛い目を見そうである。試しに自宅を常識的な(と言っても7時台の電車に乗るくらいの)時間に出たとして時刻表を調べてみると、明智鉄道を往復して起点の恵那駅に戻ってくると午後3時近くなってしまう。いくら日が長くなったと言っても、これからそれほど回れそうもない。せっかく岐阜県まで出かけるのだからせめてもう少し回りたいものだ。そこで強行軍だが名古屋に9時台前半に到着する新幹線に乗るようにすれば、明智鉄道を往復しても午後の比較的早い時間に戻ってこられる。それから太多線を通って岐阜に出、大垣から東海道本線の美濃赤坂枝線を往復してから帰京、というプランが出来上がった。今週は都合で日帰りだ。
よしじゃあこれで行こうといったんは心づもりしたのだが、これで岐阜県が制覇できるわけではない。いずれ再訪しなければならないのだが、そのときに目標となるのはまず長良川鉄道、そして樽見鉄道だ。どちらも非電化の第三セクターだが、考えてみれば美濃赤坂枝線より優先順位が高いのではないか、まあそれにしても日があるうちに乗る時間があればの話だ、と駄目元で念のため長良川鉄道のダイヤを調べてみると、午後の遅い時間、ちょうど日没前に終点北濃に到着する列車がある。だが何とかたどりつけても果たして帰宅できるだろうか。夕方の6時に岐阜県の山中にある北濃駅を出て夜11時前後にはなんとか東京まで帰ってこれそうだ。朝早く夜遅いというかなりタフな行程になるが、日帰りで明智鉄道と長良川鉄道と、ついでに太多線を制覇できるのは大きい。

朝6時半過ぎに自宅を出て、9時過ぎに名古屋着。券売機で「青空フリーパス」を購入。「JR東海&16私鉄きっぷ」とどちらにしようかと思ったのだが、日帰りだし明智鉄道と長良川鉄道の運賃を別途払っても「青空フリーパス」のほうが安い。
313系の中央西線快速で名古屋を発ち恵那に向かう。このあたりはかつて上り特急「しなの」で通ったはずなのだがあまり強い印象はない。ただひとつ気にしていたのは東海交通事業との乗り換え駅である勝川駅だ。東海交通事業城北線は名古屋郊外を走っていながら非電化で、だからいずれ乗車しなければいけないのだが、東海交通事業の勝川駅とJRの勝川駅はけっこう離れているらしく、短時間で乗り換えるような計画を立ててしまうと命取りになりそうだ。だから実際どんな感じなのか一度見ておきたかったのだが、実際に現場を見てみると初めて乗り換える人間は迷ってしまいそうだ。充分すぎるくらいの余裕を見ておく必要があるだろう。
具体的な計画がまったくできていない未来の話はさておき、高蔵寺では愛知環状鉄道の列車を目撃し、多治見ではあとで乗るはずの太多線の線路が合流してくるのを眺め、やがて恵那で下車。乗り換え口もあるがいったんJRの改札を出、明智鉄道の駅舎にまわって一日フリーきっぷを購入。明智鉄道の一日フリーきっぷは1380円で全線を往復するのとまったく料金が同じだが、それでもフリーきっぷを買ったのは、無人駅の多いこうした路線では精算が面倒で時間がかかる(行列が出来たりする)ので乗り降り自由のフリーきっぷは重宝するからだ。
明智鉄道の列車は軽快気動車のアケチ13。クロスシート車両もあるようだが、この車両はロングシートだ。
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始発の恵那駅は単線ホームだけの簡素な構造で、駅を出ると少しのあいだ中央西線と並行するがすぐに中央線は左、明智鉄道は右へと分かれていく。
明智鉄道は旧国鉄明知線で、絵に描いたような山岳路線だ。起伏の激しい地形のある区間では盛り土、またある区間では切り通しを設けてどうにかこうにか汽車が上り下りできる程度の勾配にならして線路を敷設している。ずっと登り勾配というわけでもなくアップダウンが激しい。もともと軽便規格で敷設されたせいだろうか、上りにしても下りにしてもかなりきつい勾配で、非力なタンク式蒸汽機関車で運転されていたころの苦労が忍ばれる。阿木駅は一見すると交換可能駅のようだが、相対式のホームをつなぐ構内踏切がみあたらず、よく見ると対向のホームは草むしているので機能していないのだろう。実際に交換可能なのは岩村駅で、この駅で上り列車と行き違った。ここはスプリングポイントのようだ。
1時間弱で終点明智駅着。ここは何年か前にNHKの某自転車旅行番組で取り上げられていて、見覚えがある。
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駅前では桜が満開だった。残念だったのは、駅前から恵那山が見えなかったことだ。地図で方向まで調べてみたのだが、手前の山に隠れているらしい。
30分ほどで折り返し。上り(地形的には下り)列車の所要時間は往路とほとんど変わらない。恵那駅で乗り換えのわずかな時間の間に駅前から撮影した(多分)恵那山。
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恵那駅から多治見までいったん戻る。一度改札を出て駅舎の写真を撮り、再び改札前まで戻ってきたところでおかしなことに気づく。次に乗る予定の太多線の列車が案内板に出ていないのだ。14時21分発の岐阜行きというのがあるはずなのに、電光掲示板に表示されているのは14時53分の美濃太田行き。ねんのため駅の時刻表を調べてみても、あるはずだよなあ。土曜日だから運休というわけでもなさそうだ。これは何かの間違いか、あるいは何かあったんだろうと窓口で駅員に聞いてみると、高山線でのダイヤ乱れの影響で車両がやって来ず、運休になってしまったということだ。
想定外のことにいったんパニックになりかけ、当初の予定を破棄してこのまま東京に帰るか、あるいは初期プランの通り美濃赤坂をめざすか、とも考えたのだが、気を取り直して改めてダイヤを調べてみると、太多線の列車を一本遅らせても予定していた長良川鉄道の列車に乗れることがわかった。乗り継ぎ時間がだいぶ短くなるし、次の太多線の列車が本当にダイヤ通り走るかどうかもわからないが、ともかく次の列車で美濃太田へ向かうことにする。はからずも一時間近く時間ができてしまったので、駅前に出てデパ地下の喫茶店で食事を摂る。

太多線はかなり混雑していたが、ほぼダイヤ通りに走ってくれた。中央本線と高山線をつなぐ非電化のローカル線だが、ほとんど勾配がなくまた適当に都市化されている(名鉄の路線もある)ので、例えば高山線の岐阜-美濃太田間とあわせて電化するという方法もあるのではないかと思うが、まあJR東海はやらないよね。
美濃太田駅で長良川鉄道に乗り換え。乗り換え時間は10分ほどで、その間に長良川鉄道の一日フリーきっぷ2700円を買わなくてはいけない。長良川鉄道の美濃太田駅には駅舎らしい駅舎はなく、ホーム上の事務所が出札兼改札兼待機場所になっているようだ。
長良川鉄道の列車は二両編成だったが、ワンマン運転なので1両目に乗車。だがこの車両はチャギントンのラッピングがされていて、それは別にいいのだが窓ガラスの部分までラッピングされている。その結果何が起きるかというと、窓を通して入ってくる外光が赤だったり黄色だったり青だったり緑だったりと、まるでディスコのようなカラフルさ。しばらくは我慢していたのだが、だんだん我慢できなくなってきて、二両目には誰も乗っていないのでそちらに移ろうと席を立ったものの貫通路がつながっておらず、二両目は締め切りの回送車両らしいとわかってノコノコと元の席に戻るという、はたから見ると意味不明な行動をとってしまった。
関で乗務員が交代し、回送車両も切り離される。ここからはほぼ北に向かって走るようになる。美濃市でまとまった人数が降りていき、このあたりで濃尾平野が尽きて山間部に分け入っていく。しかし長良川の河谷を川と並行して走っているので、明智鉄道ほどにはアップダウンは激しくない。郡上八幡はそれなりに開けた都会で、ほとんどの乗客が降りていく。美濃白鳥では乗客は三十一ともうひとりだけになっており、その乗客も白山長滝で降りてしまったので最後の一駅区間は三十一の貸し切りになってしまった。美濃太田からちょうど二時間で終点北濃に到着。北濃駅は1面2線の島式ホームだが無人駅になっており実際には1線しか使われていないのだろう。駅敷地内には転車台も残っている。駅前はすぐ国道で、その向こうは長良川。そのさらに向こうはもう山だ。駅前には除雪された雪が一部まだ溶けずに残っていた。折り返しを待つあいだに車で親子連れがやってきて、ひとしきりチャギントンと記念写真を撮り車内にまで入り込んで、列車に乗るのかと思ったらまたもや車で去っていった。厳密なことをいうと、車内に入るのなら運賃が必要なんやで。
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折り返しとなる列車では、いつの間にか中学生くらいの乗客がひとり乗っていて二人旅になった。美濃大和あたりまでは辛うじて外が見えていたが、あとは真っ暗。美濃太田から特急に乗り継ぎ、さらに名古屋で新幹線に乗り継いで帰宅。

昨日の旅程:
東京(0740)→名古屋(0919) 101A
名古屋(0946)→恵那(1056) 5711M
恵那(1119)→明智(1208) 9D
明智(1236)→恵那(1324) 12D
恵那(1331)→多治見(1359) 5734M
多治見(1453)→美濃太田(1523) 3633C
美濃太田(1534)→北濃(1734) 13レ
北濃(1800)→美濃太田(2014) 20レ
美濃太田(2022)→名古屋(2103) 1040D
名古屋(2112)→東京(2253) 58A

 

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