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2019年5月 6日 (月)

山陰警備隊、西へ

今日は山陰本線を西へ。ただし目的は警備ではなく山陰本線非電化区間の制覇。
未乗区間を一覧表にして管理するようになったのはわりと最近だが、電化区間・非電化区間を問わず一続きの区間としての未乗区間の中で常に首位にあったのが、山陰本線の西端、江津以西だった。なにしろ、200キロを越える未乗区間はこれだけで、100キロ越えも3つだけ、しかも残り二つは北海道新幹線と九州新幹線だ。新幹線ならその気になれば乗車するのはそれほど難しくないだろう。しかし山陰本線のこのあたりは、残ってしまっただけあって東京からのアプローチが遠い。おまけに益田以西の山陰本線からは特急もなくなってしまった。
幸いこの時季は日が長い。東京よりずっと西にあるということもあって、日没は夜7時前後。日没前に終点まで乗り終えるためには、益田駅を午後早い時間に出る普通列車に乗る必要があるので、それに間に合う特急に乗ることにする。特急に乗るのはいいのだが、できれば海側の窓際に座りたい。山陰本線の特に西側は大部分海沿いを走る。具体的にはD席となるのだが、試しスーパーはくとの車中でネット検索してみると「D席のみ空きなし」という非常にわかりやすい結果。うーむ、やはり皆考えることは一緒か。鳥取駅についたとき、それから若桜鉄道から戻ってきたときにそれぞれ駅の券売機で調べてはみたものの、結果は同じ。幸い鳥取は始発駅なので、早めに行って自由席でD席を狙うしかないだろうといったん諦めて、その段階でホテルに入り、もう一度だけネット検索してみてから就寝。当日朝少し早めに行って万一のキャンセルがないか確認してそれも駄目だったら自由席に並ぼう、と決めて寝て起きた翌朝、ホテルのベッドの中でもう一度検索してみると、あるじゃん。
目的の列車、「スーパーおき」は3両編成で1・2号車が指定席なのだが、1号車の後端2列、車椅子用に片側が1列になっている個所、まるまる2列分6席が空いている。これはキャンセルがあったというより、そうした席を必要とする旅客のためにもともと一般向けの販売に乗せていなかったものを、当日朝になっても予約が入らなかったので一般向けに解放したのだろう。図らずも一人席となるD席を確保できた。一番後ろとそのひとつ前のどちらも選択できたのだが、一番後ろを予約する。
鳥取からキハ187系気動車3両編成の特急で山陰本線をひたすら西へ向かう。このあたり、鳥取-米子間は過去に2度ほど乗車したことがあるが、最初は雨、二度目は夜ということで景色がよく見えなかった。今回は昼間でしかも晴れ。席は右側窓際とこれ以上ない好条件だ。このあたりでは日本海はあまりよく見えない。それどころか、東郷池のまわりをぐるりと迂回していく。この池の水を全部抜くのはちょっと大変かもしれない。倉吉到着。鳥取県第4の都市の代表駅にしては周囲はあまり開けていない。実は倉吉の中心地は山陰本線からかなり離れていた。山陰本線が開通したときに倉吉駅として開業したが、ここから分岐する倉吉線が開通するにあたり、もっと市街地に近いところに倉吉駅が開業して当駅は上井と改称された。しかし山陰本線の倉吉市街最寄り駅としてはわかりづらいということになって、再度倉吉駅と改称し倉吉線上の倉吉駅は打吹駅と改称されたのだが、最終的に倉吉線が廃止されて本線上の倉吉駅だけが残ったのだ。ちなみに鳥取県に市は4つしかない。
因幡国から伯耆国に入ってくると、残雪をいただく伯耆大山が左手にみえてくる。地図をみるとよくわかるがこのあたりは大山の山麓で線路もぐるりと円を描いているので大山の相対的な方角があまり変わらない。左側から電化の伯備線が合流すると伯耆大山、そして米子到着。不思議なもので気動車に乗っていながら頭の上を架線が走っているかと思うと少し気分が萎える。安来、松江、出雲市と島根県を代表する駅に止まっていく。右手遠く、まさに上昇していく飛行機が見え、米子か出雲かと考えてみたがどうも出雲らしい。こんなに近くにふたつも空港が要るのかなあ、などと考えているうちに宍道湖の西端、出雲空港からちょうど離陸していく飛行機が見えた。この時期は便数が多いのだろう。出雲市の次、西出雲を出ると電化路線は終わる。左手に広がる出雲車両区に向かう線路には架線が張られているが、こちらの線路には架線はない。なぜか気分が高揚する。右手に海が見え始めるとやがて田儀駅。ここは数年前に土砂崩れがあって山陰本線が不通になり、その後復旧された新しい擁壁を横目に見ながら通過する。この先はしばらく海に沿って走る。
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大田市を過ぎ、江川(ごうがわ)を渡ると江津だ。かつて乗車した三江線の路盤が一瞬見えた。この先が未乗車区間となる。かつての特急「出雲」の終着駅である浜田を過ぎ、山陰線での撮影名所である三保三隅を通過する。岡見でかつての専用線跡を見つけられなかったのは残念だった。
益田で特急を下車し、跨線橋を渡って各駅停車に乗り換える。待っていたのはタラコ色のキハ40単行列車。発車直前とあって海側の席には座れなかった。山側のクロスシートに座る。車内の客層を見渡してみると、意外に観光客が多そうだ。目の前に座った一人旅の男性客も、向かいの席の女性グループも萩のガイドを見ているので、東萩まで行けばほとんどの旅客が入れ替わると踏んで堪え忍ぶ。予想は的中、東萩で首尾良く海側の席にありつぐが、しかしこの列車はあと1時間もかからず、長門市で終着となってしまう。長門市に到着、この駅では4方向に線路が出ている。これまでやってきた山陰本線の上り方面、下関方面、仙崎方面、そして美祢線の厚狭方面。列車を降りた旅客はほとんどが山陰本線の下関方面か美祢線の厚狭方面に乗り換える。しかし三十一はここでいったん改札を出る。途中下車印を切符に捺してもらい、駅前に出て下関方面に走って行くキハ40単行と、厚狭方面に走っていくキハ120を見送る。そして三十一はおもむろに仙崎方面に向けて歩き出す。山陰本線の枝線である長門市-仙崎間に乗車するためだ。当初の計画では、約1時間後に長門市駅を出る仙崎往きに乗って、そのまま折り返してくる予定だった。しかしそれでは仙崎駅での滞在時間は7分だけ、そして戻ってきてから3分の乗り継ぎで下関方面に向かう列車に乗り換えなくてはいけない。空き時間が多すぎるかと思えば余裕が少なすぎたりしてバランスが悪い。そこで思いついたのが、ひとつ仙崎までの2.2キロを歩いてみようと言うことだった。与えられた時間は1時間弱。港町で勾配はほとんどないようだし、地図を見てみると大きな通りをまっすぐいって一度曲がればいいらしい。曲がるところさえ間違えなければ迷う心配はないし、大きな道なので案内も出ているだろう。スマホの地図を開いて歩き出す。右手の方向に線路が走っているはずだが、目印となる架線柱がない非電化路線なのでよくわからない。ふと道沿いに立っている掲示板に目をやるとそこには某国首相の顔写真が。そういやこのへんが地盤でしたね。ロシアの大統領もこの道を歩いたのかな。駅を出てから25分ほどで無事に仙崎駅に到着。
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しばらく駅構内をうろうろしているとキハ120の列車がやってきた。
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前方が見える席に座って長門市に向かう。あれだけ暑い思いをして歩いた区間も列車に乗ればあっという間だ。鉄道は偉大だなあ。
長門市でまたもや跨線橋を渡り、キハ40の列車に乗り換える。乗り継ぎ時間は3分しかないので海側どころかクロスシートにも座れず、ロングシートの一隅に座る。さきほどの列車と違って一見して観光客とわかるような乗客はいない。地元客ばかりだと予想が難しいなあ。二駅目、長門古市で山側のクロスシート席に移る。右手には油谷湾。かつて聯合艦隊も碇泊したと伝わる大きな湾だ。阿川で海側に移り、難読駅として有名な特牛(こっとい)を過ぎて長門二見で再び海沿いに。このあたりでは線路はほぼ真南に向かって走っており、つまりは車窓がまともに西を向いているということだ。すでに夕方5時をすぎ、日没までまだ多少あるにしてもかなり日は傾いている。
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小串で再度乗り換え。屋根のない跨線橋を渡ってキハ47の二両編成に乗り換える。おそらくこの先は下関市街地と往復する旅客が多いので二両編成にしているのだろう。列車の区間を短く設定してそれぞれの区間に適した車両を投入し、乗り継ぎを短くするというやり方自体に異論はないが、乗り継ぎのたびに跨線橋を上り下りさせられるのはもう少しどうにかならないものか。吉見をすぎたあたりからはだいぶ市街地らしく建物が建て込んでおり、駅の間隔も短くなってきた。左側から複線電化の山陽本線が合流してきて、山陰本線は山陽本線の上下線の間に入り込み、左手に車両区が見えてくる。あの茶色の旧型国電は小野田線を走っていたやつかなあ。放置されてだいぶ痛んでいるようだ。幡生に到着、これで山陰本線を全線制覇。ここで山陽本線に乗り換える。新下関から山陽新幹線「こだま」に乗り換え、今日の宿営地である徳山へ。700系の「ひかりレールスター」だ。この車両に乗るのは初めてだけど、座り心地いいなこの車両。

今日の旅程:
鳥取(0944)→益田(1324) 3003D
益田(1328)→長門市(1517) 1571D
長門市(1522)→仙崎(1548) 徒歩
仙崎(1627)→長門市(1631) 716D
長門市(1634)→小串(1749) 973D
小串(1753)→幡生(1830) 887D
幡生(1833)→新下関(1837) 3360M
新下関(1909)→徳山(1949) 760A

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