若桜ゆえ
今年のGWではまず智頭急行と若桜鉄道。5年前だったか、山陰地方中部を集中的に乗り潰したときに、この両線だけは残してしまった。智頭急行は関西から鳥取に行くときのメインルートで、若桜鉄道はその途中から枝分かれするため、比較的スケジュールを組むのは容易(ほかの、例えば木次線と比べての話だが)だと判断して後まわしにしていた。しかし東海地方より東の非電化区間をほとんど乗り潰してしまった今となっては、智頭急行線56キロの未乗車はかなり目立つ。このルートを潰せば、山陰地方の東部中部はほぼクリアとなるのだ。
とは言いながら、このルートの優先順位がもっとも高いというわけではない。いくつもある計画のひとつでしかない。それがどうして実際に出撃することになったかと言えば、GWの真ん中にたまたま宿がとれたからである。実のところ、空き部屋を見つけたときにはかなり悩んだ。混雑必至の連休にそこまでする必要があるだろうか。しかしこういうのは勢いだ。連休が終わるまでにはまだ少し間があるので、多少の無理はきくだろう。というわけで、GWに入る1週間前になってホテルを予約し日程が決まる。この時点では1泊2日の予定だった。しかしその数日後、駄目で元元、翌日のホテルを探してみるとなんと予約できてしまった。こうしてなし崩し的に2泊3日の予定が確定。
平成も差し迫った昭和の日に、最寄り駅で切符を買う。ちょっと面倒な経路なのであらかじめルートを紙に書いて持って行く。そのおかげで説明はそれほどしなくて済んだが、窓口のお兄さんも「こんな切符作ったの初めて」と言われてしまった。まあそうだろうね。
朝8時台前半の新幹線で新大阪へ。そこからさらに乗り継いでHOT7000系の「スーパーはくと」で鳥取に向かう。できれば始発の京都から乗り継いで「はくと」は自由席にしたかったのだが、多少なりとも朝余裕を持ちたかったので新大阪乗り継ぎにして、そのかわり指定席をとるようにした。窓際がとれなかったのだが、HOT7000は窓が大きく外を見るのにあまり不便を感じなかった。さらに客室前方の壁面に前方展望の映像を流している。
新大阪から大阪、三宮、明石、姫路を経て上郡へ。このあたり、意外と山が近い。というか、東京にいると山が遠いのだ。姫路を過ぎると景色はすっかり山中。山陽本線では瀬野八につぐ勾配区間で、かつてこのあたりにはスイッチバックの信号場がいくつもあった。それでもせいぜい10パーミルくらいだったはずだ。上郡から非電化の智頭急行線に入り、乗務員も替わる。上郡駅の中線から高架に上がって上り線をまたぎ越し、右にカーブして智頭急行線に入っていく。線路脇の架線柱が見えなくなり、非電化路線に入ったことがわかる。やがてトンネル。この先はトンネルが多い。佐用で姫新線と合流してまたすぐ分かれる。離れていく姫新線の線路を見て、いずれまた遠くない将来に乗りに来ようと決意を新たにする。智頭急行線は兵庫県の上郡と、鳥取方面を結んでいるが途中で岡山県を通っている。岡山県東北端の山間部に住民の足となる鉄道を敷くという意味もあり、智頭急行には岡山県も出資している。さらに一山越えて鳥取県へ。長いトンネルをぬけると大きく右カーブして因美線と合流。かつてはむこうの線路からこっちの線路がカーブしていくのを見送ったものだが。智頭、郡家ととまって高架にのぼり鳥取駅に到着。
いったん改札を出て、自動販売機で若桜までの連絡きっぷを購入、ふたたび改札を入る。素直に考えると、特急を郡家で降りて若桜行きに乗り継ぐのが順当で、実際当初の計画ではそうなっていたのだが、調べ直してみるとこの若桜行きは鳥取始発で、特急で鳥取まで来ても充分間に合う。郡家で1時間待つか、鳥取で30分待つか。郡家で時間を潰すのはなかなか難しそうだ。
今回失敗したと思ったのは、荷物の中に小さい鞄を入れてこなかったことだ。荷物の大部分をロッカーにぶちこんで軽装で動くということができない。しかたないので全ての荷物を抱えた状態で若桜まで往復することにする。鳥取駅で待っていたのは若桜鉄道の、いかにもレトロ風の2両編成。
内装は一見してファミレスのようだ。行楽客と高校生が入り混じって一種独特な車内の雰囲気だ。さっき通ってきた路線を逆戻りして、郡家から若桜鉄道にはいる。旧国鉄若桜線、現若桜鉄道は山間部を走る路線のわりには勾配は緩く、曲線もきつくない。川沿い、街道沿いにほぼ並行して宿場町の若桜まで走る。ただ最後、若桜駅の手前で大きく山を迂回して走る大カーブがある。終着の若桜駅には若桜鉄道の本社と車両基地があり、ターンテーブルとピンク一色に塗られたC12機関車が。
はじめの予定では10分で折り返すつもりだったが、1時間待った次の列車にする。郡家で潰せないと踏んだ1時間が、若桜なら潰せるのだろうかという疑問はあるが、駅前を歩いていると若桜神社という案内をみつけたので行ってみる。
入口にはわりとすぐたどり着いたのだが、本殿は階段のはるか上にあるようなので諦めて駅に戻る。駅に戻ってみると次の列車がもう入っていた。まだ誰も乗車していないようなので、最前列を占領して発車を待つ。戻りの列車では交換待ちによる長時間停車が複数回あって、往きよりもかなり時間がかかった。
本日の旅程:
東京(0800)→新大阪(1033) 207A
新大阪(1118)→鳥取(1351) 55D
鳥取(1422)→若桜(1509) 1337D
若桜(1613)→鳥取(1709) 1342D
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