リビアの独裁者とラピュタと宇宙飛行士
リビア軍に大佐の階級をもつ人物は沢山いるだろうけど、ひとりだけ飛び抜けて有名だ。その大佐どのも近頃はだいぶ追いつめられているらしい。
カダフィ大佐は1969年のクーデターのときに大尉から一挙に大佐に昇進して、それっきり40年あまり大佐の地位にとどまっているそうだ。敢えて将軍にならないのはそれなりの思惑があるのだろう。
だがしかし、怪しい軍人というと「大佐」と相場が決まっているのはなぜだろう。具体的に思い浮かぶのは「ラピュタ」のムスカ大佐だったりする。カダフィが大佐にとどまったままなのは結果としてイメージダウンだったのではなかろうか。某北国の将軍様と違ってカダフィはスタジオジブリなんか観ないだろうけどさ。
実際には、士官の多くがかろうじて大佐まで昇進するものの将軍に昇進することはかなわず、大佐のまま現役を退くことになるために「元将軍」に比べると「元大佐」がごくありふれた存在だということだろう。大佐と将軍の間にはそれくらい高い壁がそびえているのだ。
ひとつ実例を挙げてみると、アメリカの宇宙飛行士の多くは、特に初期が軍人出身であった。これら軍人出身の宇宙飛行士の最終階級は、ほとんどが(たぶん8割くらい)大佐なのである。おそらく、宇宙飛行士になれるくらいの能力の持ち主で無事に任務をまっとうできれば誰でも大佐までにはなれるのだろう。しかしそこから上は相当狭き門らしい。例えばアメリカで最初に軌道をまわったジョン・グレンも、アポロ11号で月面を歩いたバズ・オルドリンも、ジェミニとアポロとスペースシャトルで6回の飛行を経験し宇宙飛行士室長を長年つとめたジョン・ヤングもみんな大佐どまりなのであった。ちなみに初めて月に立ったニール・アームストロングは当時すでに軍をやめて民間人の資格でNASAに勤務していた。
宇宙飛行士が将軍の地位を得るためには、宇宙飛行で功績をあげるよりは、地上の管理業務で評価されることが必要なようだ。アメリカの宇宙飛行士で大将の地位を得たのは 2006年のチルトン空軍大将が最初で、しかも今のところ彼だけだ。
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