中国中央軍委の顔ぶれ
先週開かれていた中国共産党第19回党大会を経て、党の中央軍事委員会の顔ぶれが決まった。この顔ぶれが今後5年間、中国人民解放軍を指導する。
主席・習近平
副主席・許其亮(空軍上将)、張又俠(上将)
委員・魏鳳和(上将)、李作成(上将)、苗華(海軍上将)、張升民(中将)
まず目につくのは委員がこれまでの8名から4名に減ったこと。これは2016年初頭に行われた人民解放軍の改編が関係しているだろう。いわゆる4総部が7つの部門に改編されそれぞれの重みが小さくなり、7大軍区が5大戦区に改編されるとともに軍種としての陸軍司令部が創設された。
委員はそれぞれ別に肩書きを持っている。これまでは国務院国防部長、総参謀長、総政治部主任、総後勤部部長、総装備部部長、空軍司令員、海軍司令員、ロケット軍司令員だった。新しい顔ぶれでは各軍種の司令員と、後勤部門・装備部門の長が委員からはずれることになった。かわりに入ってきたのが、軍事委員会中央紀律検査委員会書記だ。中将の張升民が党中央紀検委副書記兼中央軍委紀検委書記の肩書きをもって中央軍事委員会委員の一角を占めるようになったのは、習近平が軍においても「腐敗摘発」を進めていくという態度の表れだろう。
なお、今回の人事の直前に聯合参謀長(もと総参謀長)が房峰輝から李作成に交代しているが房峰輝は規律違反(つまり汚職だ)の疑いで取り調べを受けているという情報もある。
今回の人事を見越してのことだろう、聯合参謀長と政治工作部主任はいずれも最近交代した。聯合参謀長の交代は上記の通りだが、政治工作部主任は海軍政治委員から苗華海軍上将が就任した。海軍軍人が政治工作部主任(総政治部主任)に就任したのは初めてだ。
いっぽう、国務院国防部長の常万全が交代したという報道はまだない。しかし、常万全は今回の党大会で中央委員に選出されていないことから今後(おそらく来春の全人大で)退任することは間違いない。その後任はもうひとりの中央軍委委員で序列筆頭、最近ロケット軍司令員を退任して現在無役の魏鳳和だろう。
結局、軍委のヒラ委員4名は国防部長魏鳳和、聯合参謀長李作成、政治工作部主任苗華、軍紀律検査委員会書記張升民、というメンバーで行政・作戦・政治工作・監督のそれぞれの機能を分担することになる。
その上の副主席2名は実質的な制服組トップだ。彼らは別に肩書きを持たず軍委の職務に専念する。前期から留任の許其亮は空軍司令員の出身、さらに今回昇進の張又俠は前任の装備発展部長で、いずれも技術に明るいと考えられる。ヒラの委員には技術職が含まれなくなったが、副主席にこうしたメンツが配置されたことから軍近代化の流れは今後も続くのだろう。
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